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暴れ馬ルーニーは米国で甦るか?
マンU最多得点、香川を生かした異才。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byGetty Images

posted2018/06/02 17:00

暴れ馬ルーニーは米国で甦るか?マンU最多得点、香川を生かした異才。<Number Web> photograph by Getty Images

イングランドサッカーの顔であり続けたルーニー。マンチェスター・ユナイテッド時代の香川真司との好連係も記憶に新しい。

代理人のせいでヒーローから憎悪の対象。

「ポール・ストレットフォードは金の亡者だ」とサー・アレックスが述懐しているように、エージェントの戦略もマイナスだった。

 2012-13シーズン、ストレットフォード主導と考えられるトランスファー・リクエストが出回り、ルーニーは多くのサポーターを敵にまわす。ユナイテッドの補強プランを否定し、「優勝できるチームへ」と訴えるなど、エージェントの戦略に踊らされているとしか思えない幼稚な行為だった。もう少しだけサー・アレックスを信じていれば……。

 後にトランスファー・リクエストは撤回したものの、数週間前までの大歓声がブーイングに変わる。忠誠心が薄れたヒーローは、瞬く間に憎悪の対象へと姿を変えた。

 サー・アレックス退任後のユナイテッドを象徴するように、ルーニーはメインキャストの座から引きずり降ろされた。2017年夏、古巣エバートンに戻っていった際も、メディアの反応は冷ややかだった。

ユナイテッド史上最多の253ゴール。

 通算253ゴールはユナイテッド史上最多である。二度と破られそうにない大記録だ。しかし、トランスファー・リクエストの悪影響なのか、あるいは負傷との闘いに明け暮れた2014-15シーズン以降のパフォーマンスがイメージダウンを招いたのか、地元サポーター間でもルーニーが話題にのぼるケースは稀だという。

 サー・アレックスが「あの子のピークは25、26歳」と語り、ポール・スコールズも「早熟の偉才」と続いたように、その評価は限定的だ。

 それでも、数多くの美しいパフォーマンスが目に焼き付いている。2011年2月12日、マンチェスター・シティ戦で決めたオーバーヘッドはフットボール史上に残る一撃だ。

 今シーズンのチャンピオンズリーグでも、クリスティアーノ・ロナウドとギャレス・ベイルが決めているって? いやいや、美しさ、破壊力ともにルーニーの比ではない。

【次ページ】 「シンジ、決めてこい」のパス。

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