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「2番・大谷翔平」はチームの柱の証。
では巨人「3番・岡本和真」の意味は? 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2018/05/18 14:15

「2番・大谷翔平」はチームの柱の証。では巨人「3番・岡本和真」の意味は?<Number Web> photograph by Kyodo News

ホームラン後、中井大介と坂本勇人に迎えられる岡本和真。チャンスに強い男は、今季巨人のキープレイヤーとなった。

では、なぜゲレーロの3番に問題があるのか?

 ゲレーロの得点圏打率は2割7分7厘(5月17日現在、以下同)。打率は3割8厘あるが、チャンスでは逆に率が下がる。走者を置いての勝負強さに不満が残る結果しか出ていないことがまず1つだ。

 そしてさらに問題なのが、ゲレーロは典型的なフリースインガーだということである。

 ゲレーロには確かに一発の怖さはある。その反面、坂本と吉川が繋がって一、二塁となっても、ゲレーロはフルスイングするだけで、三振で走者を進めることもできないケースが目立っている。「3番・ゲレーロ」だとベンチは、とにかく打つか、打たないか――その2つに1つの勝負を覚悟しなければならないのである。

 そこで「3番・岡本」というオーダーだ。

岡本がチームトップを誇る数値とは?

「とにかくつなぐ意識で打席に立ちました」

 5月11日に初めて3番に入った岡本の言葉である。

「本塁打はヒットの延長」と岡本は言う。ただフルスイングするのではなく、あくまで走者がいれば走者を生かす打撃、走者がいなければ四球を含めて塁に出ることを考えて打席に立つ。

 言葉を変えれば、その局面で何とかしようという気持ちがあるから、打てなければおしまいという丁半博打のバッティングではない。その意識があるから得点圏では通常の打率3割4分5厘を上回る打率3割5分1厘という数字を残している。

 セイバーメトリクスの指標で「wRC+」というものがある。打者の得点創出力を比較したwRCに球場の特性などを加味して出した平均指数で、100を平均値として数字が大きくなればなるほど、その選手が得点を生む能力が高いことを示す数字だ。

 このwRC+が両リーグトップなのはソフトバンクの柳田悠岐外野手の250(データはすべてDELTA社データサイト)で平均値の選手の2.5倍の能力があることになる。実は岡本のこの値は、DeNAのホセ・ロペス内野手と並んで両リーグ6位の175となっている。これは坂本の153を上回ってチームトップの数字なのである。

 長打もあり、得点圏での勝負強さもあり、塁に出る能力も高い。要は万能型の選手に成長したことを示す数字なのである。

【次ページ】 5番に戻された岡本だが、シーズン終盤にも期待が。

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