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森重真人はW杯にギラついている。
「俺なんて」が口癖だった男の変貌。 

text by

馬場康平

馬場康平Kouhei Baba

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photograph byKoki Nagahama/JMPA

posted2018/05/17 08:00

森重真人はW杯にギラついている。「俺なんて」が口癖だった男の変貌。<Number Web> photograph by Koki Nagahama/JMPA

コートジボワール戦で喫した悔しい逆転負け。森重真人が味わったブラジルでの屈辱は、ロシアで晴らすのみだ。

キャラじゃないはずだった主将にも。

 それは1つ課題を見つけるたびに、そこに真摯に向き合ってきたからに他ならない。全体練習後の自主トレや、体のケアも急激に時間を伸ばした。そのことを聞かれても、当時は「そうですかね」とうそぶいたが、その目には少し先のなりたい自分がハッキリと映っていた。

「大きな目標を見つけるよりも、そっちのほうが自分にあっていたんだと思う。だから頑張れた。単純にそこなのかな。漠然と『日本代表に入る』という目標があったとしても、入るためには自分に何と、何と、何が必要なのか。そう考えた時に、遠いところに大きな目標を置いた上で、その間に小さな目標をいくつも設定していった。1つひとつの壁を越えていけば、その先があると信じて。だから目の前のことを意識しながらやり続けることができた」

 FC東京では、2013年から「キャラじゃない」と避けてきた、キャプテンも任された。快諾したのは、「キャプテンマークを巻けば、何かが変わるかもしれない」と思えたからだった。

「W杯のピッチに立つ」と目標を修正。

 そして、その年の夏に韓国で行われた東アジアカップで、アルベルト・ザッケローニ監督から声が掛かり、約4年半ぶりに日の丸を背負った。そこでチャンスをつかむと、そのまま日本代表に定着。

 そのころには、センターバックのレギュラー取りへの意欲を隠そうとはしなかった。1つ壁を乗り越える度に強くなれた。確信を得たからこそ、「スタメンで出たい」と口にし、こう続けた。

「代表に入っただけでは満足できず、そこでスタメンを取らなければいけないと思えた。入っただけで満足しないためにも、不動と言われる2人とポジションを争うことを目標にしようと。もちろんアピールして代表に入り続けたいという思いもあったけど、それだけで満足したらダメだと思ったし、2人の間に割って入っていくことが自分のモチベーションにもなった」

 旅支度を整え、ブラジルW杯日本代表のリストにも名を連ねた。気づけば、今野泰幸(ガンバ大阪)、吉田麻也(サウサンプトン)というザックジャパン不動のCBを脅かす存在となっていた。南半球に出発する直前、彼は誰に言われたわけでもなく、「日本代表としてW杯のピッチに立つ」と目標を少し変えた。仕方なく放った宣誓から約3年が経っていた。

「俺も変わったでしょ」

 そう言って頬にエクボをつくった男は、たどり着いた彼の地で現実を突きつけられる。

【次ページ】 活躍することを目標にしていたら。

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