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ノムさんに酷評されたリードは過去。
西武・炭谷銀仁朗が榎田復活を支援! 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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posted2018/05/16 10:30

ノムさんに酷評されたリードは過去。西武・炭谷銀仁朗が榎田復活を支援!<Number Web> photograph by AFLO

炭谷(中央)はWBCに2013年の第3回、2017年の第4回と2大会連続で出場している。

打撃では猛打賞、守備では好リード。

 開幕8連勝後、敵地に乗り込んだ埼玉西武は前日、前々日のゲームで千葉ロッテの足にかき回され連敗を喫していた。27年ぶりの開幕8連勝で沸きに沸いていたが、自分達の“専売特許”ともいえる機動力野球でかき回された。

 3連敗を避けたい3戦目、先発はトレードで阪神から移籍してきた榎田だった。

 1回表、西武の攻撃。1死満塁からエルネスト・メヒアが併殺打を打ち無得点。するとその裏、ロッテは4番・井上晴哉がライトへ2点適時二塁打を放ち、2点を先制した。

 西武は同一カード3連敗がチラつき、嫌なムードが漂った。

 その流れを断ち切ったのが、キャッチャーの炭谷だった。

 2回表の第1打席、1死一塁で中前安打を放って、秋山の左前適時打をお膳立て。さらに4回表には涌井の内角寄りのボールをはじき返し、松井稼頭央の右前適時打、浅村栄斗の押し出し四球を呼び込んだ。5回表にはみたび炭谷が二死二塁のチャンスに、この日3本目のヒットとなる適時打を放った。

 打撃の好結果もあってか2回以降、炭谷のリードが冴えた。榎田は出塁を許すもののボールを両サイドに散らし、ロッテ打線にあと一本を許さない。

 結局、先にマウンドを降りたのは相手エースの涌井秀章で、榎田は6回107球を投げて被安打5、失点は初回に許した2点のみで、嬉しい移籍後初勝利を挙げた。

 その後の榎田の活躍は周知のとおりだ。

初めて組む投手は難しさがあるけど。

 5月13日現在、5試合に登板、先発では無傷の4勝0敗。防御率はなんと1.30。コンビを組んでいるのは全て炭谷だ。

 炭谷は、榎田と初めてコンビを組んだ4月12日の試合後、こんな言葉を残していた。

「初めて組むピッチャーは確かに難しさがあるんですけど、そこも自分は良い経験をさせてもらっています。国際大会とかオールスター戦は(ボールを)受けるのが初めてのピッチャーも多いわけじゃないですか。それと同じように初めて組むピッチャーに、あまり気を使い過ぎると、良くないことがこれまでの経験から多かった。だから僕はとりあえず自分が思ったことをまずやってみるようにしています。

 ピッチャーとコミュニケーションをとりながら、試合を進めることが良い方向に向いて行くと僕は思っているので。もちろん試合中は話しながら進めていくわけですけど、最初からピッチャーに気を使うのではなく、自分の中で『まずは俺の言うとおりに投げてみろよ』みたいな。言い方は悪いんですけど、まずは自分主導でやってみるのが一番という考えになったんです」

【次ページ】 オールスターではノムさんから酷評。

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