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小柳ルミ子にとってのサッカー日本代表 

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小柳ルミ子

小柳ルミ子Rumiko Koyanagi

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2018/05/25 10:00

小柳ルミ子にとってのサッカー日本代表<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

前回W杯は64試合リアルタイム観戦。

 ただ、2010年南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯と観るうちに、私自身の興味も少しずつ高まっていきました。もちろん、世間的な人気も上がってきたのではないかと思うし、あの頃は、なんとなく選手が輝いて見えてきましたよね。

 特に2014年ブラジルW杯は、64試合すべてリアルタイムで観戦しました。その頃にはチームの特徴や選手の個性、課題などを分析しながら観られるようになってきていたので、日本代表についても、他の試合と同じ目線で深く掘り下げながら観ていました。

 そうそう、私、第1戦のコートジボワール戦でディディエ・ドログバが途中出場してきた時に、イヤな予感がしたんですよ。当時はなんとなく「コートジボワールには勝てる」という雰囲気があった気がするのですが、私はまったくそんなことは思っていなくて。むしろ、あれだけ素晴らしい選手が揃っているコートジボワールには、本当に謙虚な心で挑まなければいい勝負なんてできない。そう思っていました。

 以前、お仕事でスペインに行き、元スペイン代表のフェルナンド・モリエンテスさんと対談させていただく機会があったんです。モリエンテスさんはこう言っていました。「『優勝』なんて口にするな」と。W杯で優勝経験のない国は、まずは目の前の一戦一戦をひたむきに戦うことが大切。その結果として、ベスト16やベスト8が見えてくると。

 そのとおりだと思いました。だから、日本代表にはもっと謙虚に、自分たちの立ち位置をわきまえて、相手に胸を借りるつもりで戦ってほしかった。それが本音です。だって、あのメッシでさえ「目標は優勝」なんて絶対に口にしないのですから。心の中で思っていても、あえて言わないのです。なぜなら、それがどれだけ大変なことかよくわかっているから。

【次ページ】 芸道の探究と、メッシの存在。

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