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サッカー界で国境が急速に無意味に。
「自国の代表監督」にこだわるな。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byTakashi Sugiyama

posted2018/05/15 07:00

サッカー界で国境が急速に無意味に。「自国の代表監督」にこだわるな。<Number Web> photograph by Takashi Sugiyama

モロッコは欧州との地理的距離も近く、欧州で生まれ育ったベナティアのような選手の存在もあり、急速に力をつけている。

なぜ自国人の代表監督にこだわるのか。

 とにかく。本場のものだろうが文化的輸入品であろうが、美味い物は美味いのだ。世界の趨勢が、そう物語っている。

 頑なな姿勢を見せていたかと思われたチュニジアも、前線の核であるムサクニの負傷も後押しとなったのか、今年に入って初招集したフランス生まれの若手3選手がW杯メンバー入りに近づいている。

 世界を旅すれば分かる。地元の居住者のみならず、なかなかたっぷり野菜が摂れない旅行者には、安価で美味なケバブは欠かせない。日本の国民食であるラーメンは、世界各地でさまざま発展を続け、ご当地の味として定着している。もちろん、スシ、テンプラは世界の共通語。カリフォルニアロールを寿司だと認められないならば、口にしなければいいだけのことだ。

 断絶が悲しいニュースとして伝えられるのは、世界がつながっていることの裏返しだ。今年もまた4年に1度の世界の祭典が、その事実を心に訴えてくることだろう。

 それなのに。

 W杯という檜舞台に上がる代表チームの責任者たちが、本当に「W杯後の代表監督も自国の人間で」と、根拠の見えない人選にこだわるのなら、選手たちとは裏腹に世界との距離はさらに開いていく。

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