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力士と怪我の切っても切れない関係。
慢性化する前に完治させる制度を! 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2018/05/08 07:00

力士と怪我の切っても切れない関係。慢性化する前に完治させる制度を!<Number Web> photograph by Kyodo News

150kg以上の体を支える膝の故障は、まさに力士の職業病。それだけにリハビリには十分な時間をかけてほしい。

中長期的に怪我を完治させる時間を。

 だが彼らの時代が続く中で、次世代に同じことを求めた結果が現状なのだ。

 前述の宇良にくわえて、貴景勝も阿武咲も先場所を休場している。御嶽海も怪我でコンディションを落としている。

 次世代のそのまた次の世代までもが、怪我の連鎖に巻き込まれている。

 そろそろ、もう一度本気で公傷制度に向き合うべきなのではないだろうか。

 北の湖の理念を守りながら、力士も守る。つまり、楽な方に流れない、やむを得ない事例を救済するための公傷制度だ。

 かつて問題になったのが安易な公傷制度適用の激増だったことを考えると、制度の適用に際してある程度のリスクを負わせることはどうしても必要だ。

 例えば、休場によって落ちる番数、給与の落ち幅を調整することで休場と出場のバランスをとることが考えられる。

 そしてもう1つ。

 公傷制度を復活させるとしても、かつてのように1場所だけの適用では問題は解決しないということだ。力士たちの怪我を慢性化させず、本来の相撲を取り戻す助けとなる制度が必要だ。

 そして若手力士たちは中長期的な視点で怪我を克服し、大相撲の未来を切り開くのだ。

 文化としての大相撲が抱える諸問題の議論も確かに重要だ。

 しかし競技としての大相撲をいかに守るかについても、向き合わねばならない時期に来ているのだ。

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遠藤

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