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甲子園より胸躍る無名の逸材探し。
福岡に高次元剛腕、天才二塁手が! 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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posted2018/04/23 16:30

甲子園より胸躍る無名の逸材探し。福岡に高次元剛腕、天才二塁手が!<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

中村貴浩のような隠れた逸材がいる県大会。高校野球好きにとって見逃せない公式戦だ。

お目当ての1人は小倉のエース河浦圭佑。

 お目当ての1人、小倉高・河浦圭佑(3年・176cm80kg・右投右打)の登板は、延長11回になった。

 福岡No.1とも、九州でいちばん速いとも、そんな前評判が聞こえていた投手だ。

 試合は、両公立強豪がともに譲らず、1対1で延長にもつれていた。

 確かに速い。7球の投球練習から、高校生のボールじゃないのが一目でわかる。セットから軸足にゆったりと力をためて、リリース。

 ならば、“速い”以外はどうなのか?

 スライダーがベースの上でキュッと横へ飛ぶように見える。チェンジアップもベースの上でスッと沈んでいるように見える。

 距離のあるネット裏から見ていて、はっきりわかる変化なのだから、目の前で体感する打者にとっては、“消える”ぐらいの変化に相当するはず。

 そんな飛び道具を持っているのに、どちらも1球ずつしか使わずに、あとは145キロ前後の速球で押しまくり、あっという間の「3者連続空振り三振」でサヨナラ勝ちにつなげる流れを作ってみせた。

ブルペンは“素人”でもマウンドで一変。

 小倉高・河浦圭佑、ちょっと面白い投手だった。

 ブルペンに現れてキャッチボールを始めた姿を見たとき、アレッと思った。

 ブルペンのマウンド手前の平らな場所で投げ始めた河浦投手は、左足をステップすると同時に、体が正面を向いてしまって、右半身へのタメも左半身への体重移動もなく、“素人”みたいな投げ方なのに、それがマウンドに上がって投げ始めると一変する。

 ボールをセットする位置を頭の高さに置いて、そこから両手を左右に割った“半身”の姿勢を保ったまま、マウンドの傾斜を利用して大胆に踏み込んでくる。キャッチボールの時の“チャカチャカ感”はなくなっている。

【次ページ】 「ほどの良さ」とセンスはセンバツ級。

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