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八村塁、今年はNBA入りせず。
大学残留で得られるものとは? 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYoko Miyaji

posted2018/04/17 10:30

八村塁、今年はNBA入りせず。大学残留で得られるものとは?<Number Web> photograph by Yoko Miyaji

来季もゴンザガ大でプレーすることを発表した八村。「もっとバスケットボールを学び、向上することを楽しみにしている」とコメントした。

控えFWも愛情をこめて“叩きのめす”。

 八村に競争心の火を灯そうとしているのは、コーチ陣だけではない。チームメイトの一人、控えフォワードのジェレミー・ジョーンズも、練習のたびに、意識して八村に対して戦いを挑んでいるという。

「ルイはどちらかというとおちゃらけタイプだから、試合に向けての準備ができるように、僕ができることをやっているんだ。彼に向かっていき、少し叩きのめしたりしている。そうすると、彼も肘鉄などでやり返してくる。お互いがうまくなるように、愛情をこめて楽しくやっているから、コートの外での関係に影響することはない。彼は僕の仲間だからね」

 八村もそんなジョーンズの意図を理解し、挑戦として受け止めている。そうやって挑んでくるチームメイトのおかげで、アメリカ流の競争にも少しずつ慣れてきたとも言う。

「彼とは、練習中にプレーで押し合って、『お前、何やっているんだ? What are you doing?』とか言い合って喧嘩しています。わざとそうやってくれているので、いい練習になっています。そういうところは日本ではないところじゃないかな」

「コート上でベストプレイヤーは君なんだ」

 別のチームメイト、スターティング・ポイントガードのジョッシュ・パーキンズは、試合中にことあるごとに八村に声をかけ、自信を持たせるようにしているという。

「いつも、『コート上でベストプレイヤーは君なんだ』だと言っている。ルイは何でもできる万能選手で、誰も彼を止められない。試合に出ているときはいつもポイントガードとしてルイを見ているから、自分が得意とするスポットに行きさえすれば、あとは僕がボールを回してやると言っている」

 八村が「チームに迷惑をかけた」と反省したノースカロライナ大グリーンズボロ戦で、チームを勝利に導いたのは、八村のルームメイトでもあるザック・ノーベルJr.が試合終盤に決めたシュートだった。試合後、そのシュートについて八村に聞くと、「あれは彼のプレーではなかったと思うんですけれど」と、その時のコーチの指示が、ノーベルJr.がシュートするセットではなかったことを明かした。

 といっても、チームメイトへの批判で言っているわけではなかった。自分が打つためのセットでなくても、相手ディフェンスの守り方によって打つべき状況になることがある。そうなったときに、自信をもって打ち、決めてくる自信を持っている彼を称賛したのだった。そういった自信や判断力は、まだ八村には足りないものだった。

【次ページ】 「僕の役目は大きいんじゃないか」

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