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もはや恐怖のレバンドフスキ劇場。
ドルト粉砕にルンメニゲすら苦笑い。 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2018/04/06 11:00

もはや恐怖のレバンドフスキ劇場。ドルト粉砕にルンメニゲすら苦笑い。<Number Web> photograph by Getty Images

古巣ドルトムントを蹴散らしたレバンドフスキ。FWとしての総合力は世界最高峰レベルに達している。

盛り上がらなかったデア・クラシカー。

 この一戦、ドイツでは「デア・クラシカー」と呼ばれています。スペインで言うところの「エル・クラシコ」、レアル・マドリー対バルセロナに相当する大一番です。

「デア・クラシカー」が注目を集めるようになったのは、1990年代だと言われています。それ以前のビッグカードはバイエルン対ボルシア・メンヘングラッドバッハだったのですが、メンヘングラッドバッハが低迷し、代わりにドルトムントが長い凋落から復活。盟主バイエルンの好敵手として頭角を現わすようになったのです。

 両クラブの対戦のハイライトは、2012-2013シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝。ロンドンのウェンブリースタジアムで開催された欧州王座決定戦において、バイエルンがドルトムントを2-1で下して12年ぶり5度目の優勝を飾りました。

 しかし、今季の「デア・クラシカー」はそれほど盛り上がりませんでした。第27節を消化した時点でバイエルンが21勝3分3敗の勝点66。2位シャルケに勝点17差を付けて独走していたからです。かたや3位ドルトムントは13勝9分5敗の勝点48……。これはもう、対戦する前から勝負が決しているような雰囲気でした。

伝説に近づきつつあるレバンドフスキ。

 そんな状況もあって、現地メディアは両クラブの選手個人にフォーカスしていました。とりわけ、今回のゲームで1得点を挙げると「デア・クラシカー」の歴代得点ランキングで2位タイに躍り出るバイエルンのFWロベルト・レバンドフスキ(試合前の時点で8得点)に注目が集まっていました。

 ちなみに1位はゲルト・ミュラー(元ドイツ代表/バイエルン)の14得点で、2位は現在バイエルンの代表取締役を務めるカールハインツ・ルンメニゲ(元ドイツ代表/バイエルン)の9得点です。

 現地のテレビでは、ルンメニゲが今回のゲームやレバンドフスキについて語るシーンが流れていました。レバンドフスキは、ブンデスリーガでも27試合を終えて23得点。ほぼ1試合に1点ペースで得点ランクのトップを独走。2位はシーズン途中でドルトムントからアーセナルへ移籍したピエール・エメリク・オーバメヤンの13得点ですから、ダントツです。

 レバンドフスキは、ロシアW杯で日本が対戦するポーランドの絶対エースでもあります。愛称は「レヴィー」。奥さんは空手家です。ポーランドの首都ワルシャワの出身で、国内クラブでの活躍を認められて2010年にドルトムントへ。ドルトムントで大エースとなり、2013-2014シーズンにブンデスリーガ得点王を獲得。翌シーズンにバイエルンへ移籍して現在に至ります。

 ロシアW杯予選でも16得点をマーク。これは1大会における欧州予選最多得点記録で、名実ともに世界最高峰のゴールゲッターと言っていいでしょう。うーん、日本、大丈夫でしょうか……。

【次ページ】 一瞬のキックフェイントに感じる技術。

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