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鹿島・三竿健斗の指標であり続ける
土肥洋一からのロシアW杯への金言。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/04/05 11:00

鹿島・三竿健斗の指標であり続ける土肥洋一からのロシアW杯への金言。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

フィジカルとテクニックを兼備する三竿健斗はハリルホジッチ監督の好みのタイプでもあるはず。運命の発表まであと2カ月だ。

自分が主力のチームはタイトルが獲れない。

 12月2日、ヤマハスタジアム。あと1勝すればリーグ連覇が決まる最終節・ジュビロ磐田戦で引き分けに終わり、無冠でのシーズン終了が決まった。試合終了の瞬間、三竿は大粒の涙とともに、ピッチへ倒れこんだ。

「これまでタイトルを獲ってきた満男さんや日本代表にも選ばれる亮太くんがベンチにいるなか、自分がチームを代表して出場していたので、すごく責任を感じた。勝たせられなかったことが何よりもショックだった」

 磐田戦直後は何をしても手につかず、「しばらく誰ともしゃべりたくなかった。自然と1人でボーッとしている時間が長くなった」。携帯でアントラーズが優勝を逃したニュースを見ても、見出しだけでその先を開くことができなかった。

 なぜこんな結果になったのか、どうしたら優勝できたのか、「自分でも未だに理解できていない」という。そして、それを「簡単に理解できるとも思っていない」とも。

 その中で、はっきりとした事実があった。

 これまでのサッカー人生、自分が主力として出場したチームは、一度もタイトルを獲ったことがなかった。

「チームを勝たせる選手になる」

 今後の選手人生を懸けた目標が、改めて明確になった。

初の代表入りも自然体。

 2017シーズン終了前、初の日本代表メンバー入りの報が入った。国内組を中心としたメンバーで臨んだE-1選手権、その韓国戦で国際Aマッチ初キャップを刻んだ。Jリーグでタイトルを逃した傷は癒えていなかったが、切り替えざるをえない状況。そこで、これまでの積み重ねが間違っていなかったことを知るきっかけをつかんだ。

「特に緊張することなく、いつも通りできた。それも日常からチームで高いレベルの練習を続けられていたからこそ。今回はあくまで国内組だけだったので、次の試合で選ばれるかが本当に大切になる」

 目指していたステージで、「いつも通り」のプレーが通用する手応えを感じることができた。アントラーズで積み重ねてきた日々が、間違っていなかったことの証だった。

【次ページ】 植田直通「頼もしい限り」

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