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スポーツ新聞に愛された男――。
「劇薬」貴乃花親方の功績とは? 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2018/04/01 09:00

スポーツ新聞に愛された男――。「劇薬」貴乃花親方の功績とは?<Number Web> photograph by JMPA

角界の改革を進めるはずの貴乃花親方の、その足元で起こった暴行事件。親方の無念、いかばかりか……。

付き人5人で4人の関取に付く過密スケジュール。

 読んでみると、

《貴乃花部屋は序ノ口以上の力士が9人在籍し、そのうち関取は4人。貴ノ岩が復帰し、貴公俊が新十両に昇進したため、出場する関取は倍増した。付け人を務める若い衆は5人しかおらず、十分に対応しきれなかった。》

 9人のうち4人が関取(十両以上)というのだから、貴乃花親方の指導はやはり素晴らしいのだろう。

 しかしそのおかげで付け人をする若い衆が5人しかいない。通常は1人の関取に2人前後の若い衆が付け人を務めるが、貴乃花部屋の付け人たちは5人で4人の関取に付いていたから「過密スケジュール」だったのだ。

 では通常はそういう場合どうするか?

《一般的には同じ一門の別の部屋から若い衆を借りるが、貴乃花一門のある親方は「人を借りたいと言われたことはない。今回、初めて実態を知った」と明かした。》(日刊スポーツ・同)

 貴乃花親方は一門でも孤立していたのか、それとも他の部屋の助けを借りることはプライドが許さなかったのか――。

 記事はそう結んでいた。

本人の孤高の在り方が、弟子たちを苦しめた!?

 なるほど、貴乃花親方が他の部屋に応援を頼めば回避できた可能性が高い。

 しかし頼まなかった。

 ここでも浮かぶのは貴乃花親方の振る舞いである。

 理想を掲げるのはいいし、本人は孤高でも良いだろう。しかし結果的に可愛い弟子たちが現場で恥をかくことになっている。

 そんな事情がこの記事でよく見えたのだ。

【次ページ】 貴乃花親方がいたからこその改革の契機。

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