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彼らは「改革」など望んでいなかった。
私はなぜラグビー協会を辞めるのか。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/03/30 17:00

彼らは「改革」など望んでいなかった。私はなぜラグビー協会を辞めるのか。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ジャパンエスアールCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)の役職は継続する。

改革や挑戦への覚悟が本物であれば。

 ファンからの支持、選手からの支持、世の中からの支持をラグビー界が幅広く獲得するために。

 私がいくら改善策を提案しても、旧態依然とした考えに基づき物事が決まる世界では、どうにもできません。力を発揮する場が与えられない以上、私には何もできません。「変える」役割を全うさせてもらえないどころか、むしろ改革を阻まれてしまう世界では、私にはどうすることもできません。

 名前だけ。形だけ。ポーズのためだけ、に私は呼ばれたのでしょうか。

 組織に呼ばれる際、最初に言われた「変えたい」という言葉を信じてしまいました。

 これ以上私が組織にしがみついても、混乱を生じさせるだけです。

 より幅広い人々から支持を得るための「改革」や「変革」や「挑戦」など、実は望んでいなかったのでしょう。その覚悟が本物であれば、まったく違っていたはずです。

世の中からの支持を大切にするのが必要。

 ラグビーの改革と変革を期待していただいたファンと選手の皆様には、申し訳ありません。

 私自身、ラグビー人気を高めたい、'19年以降に続く本物の文化を作り上げたいという思いを強く持っていました。それを具体化させるため、ファンの皆様を巻き込み、選手のモチベーションを高めるプロスポーツエンターテイメントへの挑戦を考えてきました。

 しかし、行動に移すことは許されず、発言は影響力を持たない。結果として実現に至らなかったことが残念でなりません。

 世の中からの支持を得られなかったという「結果」を見て処分されるならば、私は受け入れます。しかし、その段階にたどり着くことさえ許されていなかった。

 挑戦の段階で、旧態依然とした内部の規律で不当な処分を強いるような世界では、「改革」や「変革」は実現できません。世の中からの支持を大切にする姿勢が、ファンや民意と共に発展を成し遂げるプロスポーツエンターテイメントビジネスの世界には不可欠です。

【次ページ】 スポーツ組織がより発展を臨むなら。

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