なぜハミルトンはピットで逆転された？

　ハースのマシンを安全に撤去するため、レースには「バーチャル・セーフティカー（VSC）」が導入された。

　すでにトップを走っていたハミルトンはピットインして、2番手を走行することになった。代わってトップを走っていたセバスチャン・ベッテル（フェラーリ）がVSC間にピットインした。

　このとき、ベッテルとハミルトンの差は約11秒。VSC時にピットインして失うタイムは13秒と言われており、当然ハミルトンがベッテルの前に出ると思われた。ところが、トップで1コーナーを制したのはピットアウトしたベッテルだった。

　なぜ、ハミルトンは逆転されたのか――。

　メルセデスのトト・ウォルフ（エグゼクティブディレクター）はこう説明する。

「ルイスは悪くない。ソフトウエアにバグがあったか、単純にアルゴリズムが間違っていたのかもしれない」

　いったい、何が起きたのか。

メルセデスは完璧にピットインを計算したが。

　実は、メルセデス陣営はいつVSCが出ても対応できるように、ベッテルとのギャップがVSC時のピットストップロスタイムである13秒以内になるよう、ハミルトンのペースをコントロールさせていた。

　ところが、このマージンが十分ではなかった。

　コンピュータがはじき出した13秒という数字には、盲点があったのだ。

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