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一流トレーナーたちが語る新理論。
本当に効果的な“ラン”とは何か。

posted2018/04/17 10:00

 
一流トレーナーたちが語る新理論。本当に効果的な“ラン”とは何か。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

text by

小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga

[ 提供:adidas ]

山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)
「ベースボールは上下左右前後、全ての動きが必要なんです」

一言で「ラン」といってもその走り方は実に多岐に渡る。にもかかわらず、限られた練習法しか実践していない人が多いのが現実だ。十分な時間が取れない一般のビジネスマンたちにとって必要なのは、『効率的なランニング』の重要性だ。日々、多忙な生活を送るビジネスマンに向けたトレーニングを、各分野の第一人者が解説する。

 素朴な疑問を訊くことから始めたい。

 そもそも野球という競技において、ジョギングは有効なトレーニングの手段と言えるのだろうか? 平日はビジネスマンとして忙しく働き、週末に野球を楽しむ――そんな人たちの貴重な時間を活かすのに、ベストなトレーニングといえるだろうか? 野球にはそれに相応しい“ラン”を鍛えるメニューがあるはずだ。

「長い距離を走るのも筋肉に対する刺激にはなるので、週に1度でもそれをやることには意味があります。ただ、野球は前後左右すべての方向に動く。あらゆる方向性の刺激を入れていかないとパフォーマンスが出せないのは目に見えてますね」

 そう話すのは、元プロ野球選手の鈴木尚広さん。高い走塁技術で球場を沸かせたかつての韋駄天は、球界きっての理論派としても知られている。

鈴木尚広(すずきたかひろ)

1978年4月27日、福島県生まれ。'97年、相馬高からドラフト4位で巨人に入団。俊足を生かした活躍で7度のリーグ優勝、3度の日本一を経験した。通算盗塁200個以上の選手の中では、史上最高の盗塁成功率を誇る。

公園や近所の空き地、家の前でも手軽にできるメニューのひとつに股上げを提案する。片足ずつ、しっかりと静止。「ふくらはぎを意識して、着地の際はお尻で支えるイメージです」と鈴木さん。筋肉に刺激を与えるのが目的のため、回数はそれほどいらないと話す。

「僕が薦めたいのは練習メニューに変化を持たせること。週3回5kmを走るよりも、今日は俊敏性を高めよう、次は持久系を鍛えようと変化を持たせた方が良い。股関節や肩甲骨を意識したメニューをひとつ入れるだけで体は変わっていくと思います」

 股関節は上半身と下半身をつなげる部分、肩甲骨はそれをさらに指先へと繋げていく部位で、この2つをしっかり連動させることで力を発揮しやすくなるという。

 たとえばと、鈴木さんは椅子から立ち上がり握手を求めた。いったん手を離し、今度は腰を落として腕をグルグルと回し始める。その後再び握手を求められると、握る力が驚くほど強くなっていた!

「力を加減したわけじゃありません。上肢と下肢をうまく使えば連動性が生まれて力が伝わりやすくなる。野球はいかにボールに力を伝えるかが大事なので、これを覚えればすぐに投げるボールは速くなります」

ふくらはぎを意識、着地はお尻で支える。

 今ある自分の体を使っていかに効率よくパフォーマンスを上げられるか。ケガのリスクを極力回避し、楽しみながら長くトレーニングを続けるのが鈴木流だ。

 特に、日常仕事に打ち込むビジネスマンには何より時間の有効活用が求められる。

「頭に描くイメージと体の動きをすりあわせていく作業ができれば場所はどこだって良いんです。野球がうまくなりたいなら、野球に必要な動きをやるべきですね」

 公園や近所の空き地、家の前でも手軽にできるメニューのひとつに股上げを提案する。片足ずつ、しっかりと静止。「ふくらはぎを意識して、着地の際はお尻で支えるイメージです」と鈴木さん。筋肉に刺激を与えるのが目的のため、回数はそれほどいらないと話す。

 さらに守備の際に足がもつれないようにするための、こんなトレーニング法を伝授してくれた。

「打球はどこに飛んでくるかわからない。だから切り替え動作が大事で、前後左右のステップを週に1度でも体に覚え込ませておくのが効果的です。結局のところ、体が反応できるのは脳がその動きを既出のイメージとして描けるから。センスはそうやって後からでも補っていけるんです」

左右に加えて前後のストップ&ゴーの動きを取り入れることで、より野球に活きる練習にすることができる。近所の公園などの小さなスペースでもジグザグに前後左右のダッシュを入れるだけで、非常に効果的な練習になる。

 前後、左右、斜めに走ったかと思えば、すぐに切り返して縁石をベース代わりにタッチする。実際に公園のわずかなスペースを使って、鈴木さんは5kmのランにも匹敵する見事な動きのバリエーションを見せてくれた。

 時間さえ確保できれば、こうした動きを1分何セットと繰り返すことで持久力も鍛えることができると言うからまさに一石二鳥のトレーニング法だ。

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