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イタリア代表と“耽美主義”の血筋。
異端者ゼーマンの弟子に託す復活。 

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手嶋真彦

手嶋真彦Masahiko Tejima

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photograph byGetty Images

posted2018/03/28 10:30

イタリア代表と“耽美主義”の血筋。異端者ゼーマンの弟子に託す復活。<Number Web> photograph by Getty Images

ディビアージョ暫定監督(前列中央左)のもとでアズーリは再出発の時を迎えている。

たった2試合で見切ってしまうのは……。

 ベッラッティが指摘している通り、現代の代表監督には時間が足りない。細かい戦術を浸透させるゆとりなど、もはやないのだろう。だとすれば、ゼーマンというある種の“共通言語”を頼りにして、その高弟であるディビアージョを続投させ、元ペスカーラの3人衆を核に据える。まずは骨格を固め、そこに肉付けしてく策は、仮に消去法で残るそれだとしても有望な策ではないだろうか。

 28歳になったインモービレと26歳になったインシーニェはそれぞれ、今シーズンのセリエAで得点ランクとアシスト(※決定機創出)ランクのトップを走る。25歳になったベッラッティは、世界的なメガクラブとなったパリSGで主力を張っている。ところが、この3人が先発で揃い踏みした国際Aマッチは、怪我などの影響もあり、先のアルゼンチン戦が通算4試合目だった。たったの4試合と言うべきだろう。

 ディビアージョは2011年からU-20代表監督を、2013年からはU-21代表監督を歴任しており、これからA代表を担える若手のポテンシャルを熟知している人物だ。たったの2試合で見切りをつけるのはもったいなさすぎる。

 イタリア代表で若手が力をつけて、セリエAの各クラブに還元していく新たな流れができれば、それは持続的なうねりにもなり得るだろう。その一方で、カリスマチックなモチベーターの指揮官に目先の立て直しを託すだけでは、イタリアの真の復活につながっていくか、疑問が拭えない。実際、ユーロ2016本大会のイタリアを予想外の健闘に導いたコンテが代表を去ると、続くW杯は予選敗退に終わっている。

 大きなこの分岐点で、カルチョはいかなる道を進んでいくのだろうか。

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