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NBAスカウトは八村塁をどう評価?
「大事なのはリーグで何ができるか」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2018/03/27 16:30

NBAスカウトは八村塁をどう評価?「大事なのはリーグで何ができるか」<Number Web> photograph by Yoko Miyaji

現地メディアの取材を受ける八村。NBA入りなるか、注目度は高いようだ。

NBA入りを延ばした際のメリットとリスク。

 その例として、スカウト氏は2年前に1巡目13位で指名されたギリシャ人選手ヨルゴス・パパヤニスの例をあげた。サクラメント・キングスが、ドラフト前に合意していたトレードでフェニックス・サンズに指名させてまで獲得した選手だ。しかし、結局、パパヤニスは2シーズン通算38試合、平均12.4分しか出場しないまま、今年2月に解雇された(その後、ポートランド・トレイルブレイザーズと契約している)。

「チームがドラフト指名選手にコミットする期間は、前ほど長くなくなってきている」とスカウト氏は言う。

 もちろん、どんなことにもメリットとリスクがある。NBA入りを1年延ばしたときの最大のリスクは故障だが、それだけではない。故障なく次の1年で順調に成長したとしても、必ずしもドラフト順位が上がるとは限らないのだ。

 スカウト氏も、先に紹介したコメントで「(NBA入りを来年に延ばして)順位が変わるかどうかわからない」と言っている。それは、年齢が若いときのほうが伸びしろがあるとみられ、粗削りでも青田刈り的に高い評価をされる世界だからだ。今年2月に20歳になった八村は、来年には21歳になっている。たいした違いには思えないかもしれないが、NBAの世界で評価するときには影響する。

評価に「年齢は関係ある」と言うが。

 スカウト氏も「率直に言って、年齢は関係ある」と言う。年齢が1つあがれば、評価の際に即戦力になるかどうかの比重が上がり、できることよりできないことのほうが目につくようになる。

 それでも、八村の場合は、アメリカ人選手とは違う基準で判断される要素もある。

「彼独自の状況を考えると、アメリカのバスケットボールの中で育ったわけではなく、バスケットボールを始めるのも遅かった」とスカウト氏。この言葉からも、八村のバックグラウンドをきちんと調べていることがわかる。中学からバスケットボールを始め、2年前にアメリカに来たばかりの八村は、同い年のアメリカ人に比べて、まだバスケットボールに触れ、習得してきた年数が浅い。これから学ぶことも多く、あと1年、大学で様々な経験をすることが、長い目で見てプラスになるというのだ。

【次ページ】 NBAだとおそらくベンチプレイヤーに。

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