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高松宮記念、昨年王者は“正騎手”と。
セイウンコウセイと松田大作の物語。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2018/03/24 07:00

高松宮記念、昨年王者は“正騎手”と。セイウンコウセイと松田大作の物語。<Number Web> photograph by Kyodo News

セイウンコウセイは昨年の高松宮記念は5番人気で勝利した。今年もそこまで人気は背負いそうにないが、果たして結果は。

ひと鞍ひと鞍を大切に乗る男。

 騎乗停止中だった昨年の宝塚記念の日、阪神競馬場の関係者席で久しぶりに彼に会った。

「ご心配をおかけして、申し訳ありません」

 スーツ姿の硬い表情でそう言った彼は、私が知っていた「底抜けに明るい松田君」とは別人に見えた。

 翌7月、ノーザンホースパークで行われたセレクトセールの会場にも彼の姿があった。

「明らかに変わった姿を見せなければならないので、むっちゃ頑張ります」と、8月中旬の復帰に向けて言った。

 そして8月12日に復帰し、19日、リンシャンカイホウで復帰後初勝利を挙げた。

 その翌週、ワールドオールスタージョッキーズの取材で札幌競馬場に行ったときも彼と話すことができた。

 松田は、検量室のモニターで、自分が乗ったレースのリプレイ映像を、ほかの騎手がいなくなってもずっと見ていた。復帰戦で骨折したのに倒れず、自分を守ってくれた騎乗馬について話したときも、自分が馬を動かし切れずに負けたレースを振り返るときも、まっすぐこちらを見つめ、鬼気せまるものを感じさせるほどだった。

 あれから半年以上経った今も、

 ――ひと鞍ひと鞍を大切に乗るというのはこういうことか。

 と彼の騎乗を見るたびに思う。

 本稿を書いている時点で、今年は2着が6回、3着が5回あるのだが、未勝利だ。今年の初勝利がキャリア初のGI勝ちという劇的な結末になるか、注目したい。

牝馬6頭の出走も史上最多タイ。

 ということで、高松宮記念の印を。

◎ファインニードル
○レッツゴードンキ
▲レーヌミノル
△レッドファルクス
×ジューヌエコール
注セイウンコウセイ

 これだけ松田大作について書いておきながらセイウンコウセイが本命ではないのか、と思われたかもしれないが、本稿では、◎より、×や注をつけた馬が勝つことが多いので、注にした。

 また、今年は牝馬が6頭出ている。レース史上最多タイだ。このレースがGIになってから過去22回の牝馬の平均出走頭数は3.95頭。牝馬が馬券に絡んだ年(13回)の平均出走頭数は4.38頭と、同姓が多く出ると牝馬が好走する傾向がある。2頭の桜花賞馬のどちらかは馬券に絡みそうな気もするので、牝馬への印を厚めにした。

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