世界中のVIPと共に観戦する贅沢を。

「“カレ”はサッカーにおけるサントロペ（世界のセレブが集う南仏の保養地）だ。重要な人物ばかりがここに集まる」と、マーケティングの専門家であるジャンクロード・ダルモンは、『ル・モンド』紙のコラムの中で語っている。

　アルケライフィは招待客に誰がいるかを常に気を配っている。プライベートで仲のいいふたり――レオナルド・ディカプリオとラファエル・ナダルが揃って観戦したときには、彼の自尊心は大いに満足したのだった。

　他方で貴賓席に敷居の高さを感じるものもいる。

　招待状が彼らにある種の緊張を強いるのである。だがそこに選択の余地はない。PSGの元GKであるジェローム・アロンゾは言う。

「それなりの格好をして試合を見に行かねばならないのはちょっと面倒くさい。ただ、あの場所自体はとてもクールだ。凄い人たちに会えるからね。

　レニー・クラヴィッツにも会ったし、リシャール・ガスケとテディ・リネールの隣で試合を見たこともある。夢を見ているようだったけど、マナーは守らないとな」

　知名度や経歴は関係ない。アメリカのスポーツ観戦では、スタンドでビールやアルコールを飲むのは当たり前だが、ビヨンセとジェイ・Zのカップルはシャンパン片手に貴賓席に座るのをやんわりと断られた。フランスではスタンドでの飲酒は禁じられている。

　たとえそれがパリで最も洗練された場所であっても、である。