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W杯前に“直接FKが脅威”と刷り込め。
本田・柴崎が今回のキーマンな理由。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2018/03/19 12:15

W杯前に“直接FKが脅威”と刷り込め。本田・柴崎が今回のキーマンな理由。<Number Web> photograph by Getty Images

2015年の代表での本田と柴崎。欧州遠征でこういったシーンを再現できるか。

相手国に直接FKが脅威と知らしめる好機。

 W杯開幕を3カ月後に控え、ここから先は情報戦だ。日本代表のスタッフは、初戦で対戦するコロンビアを最優先に分析を進めている。

 対戦する3カ国のスタッフも、同じように日本をスカウティングしているはずだ。彼らが揃えているに違いない映像で、日本の直接FKは相手チームの脅威と成り得ていない。

 このままW杯を迎えたら、ポーランドもコロンビアもセネガルも、フィジカルを存分に発揮してくるだろう。いずれの国にも、パワフルなセンターバックがいる。「日本に直接FKを与えても怖くない」との認識が、ペナルティエリア付近でのデュエルから戸惑いやためらいを取り除いていくに違いない。日本側からすると、フィジカルの劣勢がそのまま局面の攻防に影響を及ぼしてしまう。

 しかし、マリ戦やウクライナ戦で直接FKを得点につなげられたら。ゴールネットを揺らすことができなくても、本田や柴崎が際どい一撃を見せつけたら──。

 W杯の対戦国は認識を改めるはずだ。「日本にもフリーキッカーがいるのか? ペナルティエリア付近で、うかつには反則ができないぞ」と。

対戦相手を戸惑わせることができるのか。

 ポーランドのロベルト・レバンドフスキやコロンビアのハメス・ロドリゲス、セネガルのサディオ・マネらを日本のメディアが「要警戒人物」として取り上げるのは、彼らのゴールシーンを何度も見せられてきたからに他ならない。「こうなったら危ない」というイメージが頭のなかに刷り込まれているのだ。僕もそのひとりである。

 鮮度の高い記憶は、それだけ意識の奥深くへ食い込んでいく。だから、今回のテストマッチは大切なのだ。「本田が復帰した、中島が呼ばれた。彼らはどんなプレーをするのだろう」といった内向きな思考回路ではなく、「日本はW杯の対戦相手を戸惑わせることができるのか」という論点が不可欠なのだ。

 マリやウクライナを下せばOK、ではない。3カ月後にロシアで激突する3カ国に、「えっ、日本はこんな攻めもするの?」と思わせることが、実は今回のテストマッチの最大のテーマなのである。

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