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ブッフォンの代表復帰に「NO!」。
混迷するアズーリの明日はどっちだ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/03/22 08:00

ブッフォンの代表復帰に「NO!」。混迷するアズーリの明日はどっちだ。<Number Web> photograph by Getty Images

ブッフォンの経歴に、多くの国民が手放しの敬意を抱いている。しかし今回ばかりは、風向きは逆のようだ。

本命はコンテだが、年俸は13.5億円。

 口では否定しているものの、コスタクルタが本命視しているのは、チェルシーの現指揮官だろう。

 決して一線級とはいえない戦力ながら、闘将コンテに率いられたアズーリはEURO2016に臨み、鬼気迫る戦いぶりでベルギーとスペインを破り、ブラジルW杯王者ドイツと引き分けた。

 コンテとチェルシー経営陣との不仲はもはや明らかで、もし彼らが今季終了後に袂を分かつことになれば、900万ポンド(約13.5億円)もの高年俸をイタリア連盟がどうクリアするかという課題は残るものの、カリスマもチーム作りの手腕も他の2人の候補と較べて頭一つ抜けているコンテは、アズーリ再建にうってつけの人材といえる。

 誰もが納得する人選として、浪人中の名将アンチェロッティが就任、という可能性もないわけではないが、彼の招聘には「仮に今夏プレミアの強豪クラブからのオファーがない場合」という但し書きがつく上に、10億円を超える高年俸問題は依然として残る。

20歳のFWコンビに未来を託す。

 いずれにせよ、9月から新たに始まるUEFAネーションズリーグや2019年春からのEURO2020予選を見据えるイタリア代表監督の座は、今季終了まで宙ぶらりんの状態なのだ。

 それでも、この3月遠征にディビアージョから呼び寄せられた多くの若手たち、特にともに20歳でA代表初招集を受けたFWキエーザ(フィオレンティーナ)やFWクトローネ(ミラン)には“明日のアズーリの中核となれ”という強い期待が込められている。

 近未来を見据えたディビアージョの選考に、アズーリを率いた先達の指導者を思い出した。

 1990年W杯で開催国イタリアを3位に導いたアゼリオ・ヴィチーニだ。今年1月30日、ヴィチーニは84歳でこの世を後にした。

 A代表監督に就任したのは1986年秋からだが、1960年代終盤からヴァルカレッジとベアルゾットという名将2人に仕えた。連盟直属のスカウトマンとして初参加した'70年大会を皮切りに、'90年大会まで都合6度もW杯でのアズーリに関わった。そんな指導者は他にいない。

【次ページ】 マルディーニやバッジョを育てた手腕。

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