Sports Graphic Number WebBACK NUMBER

<日本女子テニス強化プロジェクト鼎談・前篇>
12~14歳の3年間でやるべきこととは? 

text by

宮田文久

宮田文久Fumihisa Miyata

PROFILE

photograph byTOP ATHLETE GROUP

posted2018/03/29 16:00

<日本女子テニス強化プロジェクト鼎談・前篇>12~14歳の3年間でやるべきこととは?<Number Web> photograph by TOP ATHLETE GROUP

女子ジュニア選手が海外遠征する意義。

上田「選手のレベルが高度になってくると、コーチはその選手に対して専門化していきます。でも海外に遠征するからといって、選手一人のためにコーチが出ていくとなると、クラブのほうが手薄になる。そしてコーチも、自分では抱えきれないなという気持ちがありながらも手放せない。すると結局は、選手自身が伸び悩んでしまう……。

 だったら、クラブ・コーチみんなで集まり、お互い支え合おう、と。ワールドチャレンジプログラムでも実際に、選手たちの海外遠征に帯同するコーチ陣は、トップアスリートグループに加盟する全国のクラブで連携し合って決めています」

高柳「女子ジュニア選手をサポートするというのは、日本テニス界を見渡した時、男子では錦織圭選手が出て来て盛り上がっているので、女子の方ももっとトップレベルの選手がたくさん出て来てほしい、と願ってのことでした。こうやって、12歳から14歳という期間、日本女子テニスのジュニア選手の海外遠征を支援するという、ワールドチャレンジプログラムの枠組みが出来上がっていったんです」

上田「テニスの技術やフィジカル面での才能はあり、頑張っていくためのメンタル面での才能もある、けれどシビアなところでお金が……というジュニアの選手はこれまでも見てきました。一方でそうした経済面を簡単にクリアできる環境だと、海外遠征が軽い扱いになってしまいがち。

 ワールドチャレンジプログラムでは、才能があることはもちろんながら、『本気で頑張りたい、世界を目指したい』と願う子たちがフォーカスされている、という感触があります」

長谷川「実際にヨーロッパ、アジア、アメリカと、初年度の海外遠征を経て実感したことがあるのですが、選手たちの意識の基準がすごく高く保たれるんです。私たちも普段からそうした指導は行なうのですが、海外の選手と対峙したときに、圧倒的な体格差や、力の差を感じないと気づかない、ということもやっぱり多いですから。このジュニアの時期に海外遠征をすることの意義は本当に大きい」

高柳「このプログラムを立ち上げた当初は、『本当にそんなことをやるのか』というように、テニス界でもビックリされている空気を感じていたのですが、徐々にご理解いただけていることを肌で実感します。

 嬉しかったのは、杉山愛さんとお会いした時ですね。初対面でしたので名刺をお渡ししようとしたら、『知ってます、知ってます! 本当にありがとうございます!』と言っていただいたんです。杉山さんご自身、ジュニア選手をサポートする基金を運営されていて、そんな杉山さんに喜んでいただけたことが、私も本当にありがたく感じました」

▶ 「日本女子テニス強化プロジェクト鼎談・後篇」はこちらから

関連コラム

<< BACK 1 2 NEXT >>
2/2ページ

ページトップ