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<2018年のプロ野球を読む>
平松政次が語る「フィールドのNo.1プレーヤーたち」 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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posted2018/03/29 11:00

<2018年のプロ野球を読む>平松政次が語る「フィールドのNo.1プレーヤーたち」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

育成出身のあの選手も。

千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)

腕の振りが速いからフォークも落ちる。

 最初にリリーフで投げ始めたころの千賀を見て、「この選手は経験さえ積めば先発ローテーションに十分入れるぞ」とすぐに感じましたね。何といってもボールが速かったから。

 どこに行くかわからないけど球はめちゃくちゃ速いというのが、昔から大化けするピッチャーの共通点なんです。コントロールがついてくると、どんどん勝てるようになる。千賀はそういう要素を持っていました。いまやソフトバンクのエースになろうというピッチャーが育成枠出身なんだから、他球団のスカウトはなんで獲らなかったんだ、失敗したなって思っているんじゃないですか(笑)。巨人の山口鉄也もそうですけど、育成枠から大化けする選手がときどき出てくるんですね。

ヤマを張っても打てない。

 あれだけ速いストレートを投げられるということは、腕の振りが速いということ。だから当然フォークも落ちる。ただ、見ている感じだと、腕のしなりで投げている感じではなくて、地肩や握力が強いのかなという印象を受けますね。

 投球の組み立てはストレートと"お化けフォークが中心。どちらかにヤマを張れば打てそうなものだけど、それでも打たれないというのはやっぱり相当威力もあるし、自信があるのでしょう。

 相手チームからすれば、千賀はイヤだと思う。できれば次のカードで投げてほしいと思ってしまうくらいのピッチャーに成長していますよ。あれだけ落ちるフォークを操れる先発投手ですから、メジャーの球団も欲しがるんじゃないでしょうか。

則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)

三拍子揃ったストレートは絶品。

 最大の武器はやはり「三振が取れる」ことでしょう。昨季は8試合連続2ケタ奪三振のプロ野球記録をつくり、通算1000奪三振まであと9つ。順調にいけば、歴代4番目のスピード記録になります。

 則本が三振を取れるのは、いろいろな球種で偏りなく空振りを奪えることが理由だと思います。たとえば「このピッチャーは追い込んだらフォークを投げてくる」という傾向がはっきりとわかっていれば、プロのバッターを空振りさせることは難しい。でも則本の場合はフォークやスライダー、カーブなど、どの球種でも勝負ができますから、バッターが的を絞れないんです。

変化球は100点じゃなくても。

 こうした投球ができるのは、何よりもまずストレートがすばらしいから。速さ、伸び、コントロール、この3つが揃っていることが重要ですが、則本のストレートはすべてを兼ね備えていて、点数をつけるなら100点です。それがあるからこそ、70点、80点の変化球も点数が引き上げられて、90点をつけられるくらいの力を発揮するようになります。

 昨季の試合を見ていて気になったのは、ガタッと大崩れする試合があったこと。いまは中6日が主流なので、いくら慣れているとはいえ、闘争心を維持することは難しいのではないかと思います。ふと気持ちが抜けた時というのは簡単に打たれてしまうもの。年間を通して気持ちをどう持続させるかが課題になってくるでしょう。また奪三振にこだわりすぎず、少し余力を残しながら勝ち星を稼いでいくことを考えてもいいのかもしれませんね。

【次ページ】 王さんクラスに打球が速い男。

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