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アルファ・ロメオ30年ぶりF1復帰。
フェラーリの後押しと数奇な縁。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph bySauber

posted2018/03/11 17:00

アルファ・ロメオ30年ぶりF1復帰。フェラーリの後押しと数奇な縁。<Number Web> photograph by Sauber

アルファ・ロメオ・ザウバーの2018年マシン「C37」。アルファ・ロメオのエンブレムがひときわ目立つ。

フェラーリが世界中で尊敬され続ける理由。

 レースのために1929年にフェラーリを興したエンツォだったが、しばらくするとヨーロッパは第二次世界大戦の戦火に見舞われ、終結した後もしばらくイタリアは疲弊していた。

 そこでエンツォはレーシングチームである「スクーデリア・フェラーリ」とは別に、1947年に市販車部門である「フェラーリ」を設立し、高級自動車やレーシングカーを販売して、レース活動を続けた。

 だが、1960年代に再び経営状態が悪化。エンツォはフィアットの傘下に入り、苦境を乗り切った。このとき、エンツォは市販車部門の株はすべてフィアットに譲渡したが、レース部門であるスクーデリア・フェラーリの株は渡さず、レース活動にいっさい口出しを許さなかった。

 これこそが、世界中のモータースポーツ・ファンからフェラーリが愛されている理由であり、エンツォがイタリア語で「総裁」を意味する「コマンダトーレ」という名で呼ばれ、尊敬され続けている理由でもある。

エンツォの生誕120周年、没後30年目。

 そのエンツォが天に召されたのが、30年前の1988年8月14日。その1カ月後に行われた地元モンツァでのイタリアGPでは、開幕戦から連勝を続けていたマクラーレン・ホンダに土をつける劇的な勝利を飾ったものだった。そして、この年を最後に、アルファ・ロメオもF1の舞台から姿を消した。

 昨年、フェラーリは市販車部門の創業70周年メモリアルイヤーだった。今年はレース部門を指揮してきたエンツォの生誕120周年であり、没後30年目であり、そのエンツォがレース活動を開始したアルファ・ロメオが30年ぶりにF1に復帰する特別な1年でもある。

 いよいよ、3月23日から開幕する2018年のF1。昨年、タイトルを逃したフェラーリと、選手権で最下位に終わったザウバーの、雪辱を果たす戦いがスタートする。

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