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ローマ、ミランにトルコ人が君臨!
進撃のウンデルとチャルハノール。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/03/06 16:30
世代別代表を経験してきたウンデルは'16年11月にA代表デビューも果たしている。佳境を迎えるCLでも台風の目になれるか。
「まるで脚が4本あるようだ!」
今季王者ユベントスを破るなど例年にない好調ぶりで欧州カップ戦出場圏をキープし続けるサンプドリアを1-0で下した25節で、ミランはついに6位タイにまで浮上した。今年に入って負けなしの彼らは、一気に4位以上のCL出場圏まで視野に入れる。
サンプ戦でのチャルハノールは得点にこそ絡まなかったものの、クロスバー直撃のシュートを打ったかと思えば、フィニッシュ役のミスさえなければゴール確実という絶妙クロスを連発するなど大活躍。現地紙は「甘いタッチの5mのショートパスもゲームの趨勢を変える40mのロングパスもチャルハノールは自由自在」「まるで脚が4本あるようだ」と大絶賛した。
期待通りの働きを見せるようになったミランの新10番。新監督ガットゥーゾは「走れる脚を取り戻した」と武骨に褒める。試合後、己の手をバチバチ言わせながら手荒く祝福するのは、監督がチャルハノールを一人前の男だと認めているからだ。
ロシアW杯出場はならなかったが。
ドイツ西部マンハイムにトルコ移民の子として生まれたチャルハノールは、サッカー選手としては完全にドイツ流を仕込まれた。同じく移民の出自ながらドイツ代表を選んだMFエジル(アーセナル)と違い、チャルハノールは父祖の地のユニフォームを着ることを選んだ。
チャルハノールもウンデルも指導した前U-21トルコ代表監督アブドゥラー・エルカンは、伊紙インタビューで「2人のプレースタイルはまったく異なるが共存は100%可能だ」と彼らの未来を楽観している。
「チャルハノールにはプレーの素早い判断能力と広い視野があり、ウンデルには速さと決定力がある。特にウンデルはそう遠くないうちにビッグクラブへ行くはずだ」
トルコ代表は'02年日韓大会以来、W杯本大会出場が叶わない。ただし、ウンデルが24歳、チャルハノールが28歳で迎える4年後のカタール大会出場は、トルコにとって絶対に逃してはならないチャンスになるはずだ。