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平野歩夢、意外と饒舌な会見で。
「人と違う滑りで上を目指して」 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2018/02/15 17:00

平野歩夢、意外と饒舌な会見で。「人と違う滑りで上を目指して」<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

クールな表情が印象に残る平野だが、銀メダルを手にした笑顔もまた、まぶしい。

何をしようか作戦を組み立てる。

 そのためには何が必要か。これに関しては「ハーフパイプでは今の回転で限界まで来ているのが現状」と平野も認める。しかし、もっともっと上を目指していくという姿勢を変えるつもりはない。

「これから自分の競技レベルをさらに上げることは相当難しく、自分でも何をしようか作戦を組み立てている段階です。今できることの高さや完成度に加えて、今後ハーフパイプで勝ち続けるには1440(4回転)を3つ入れることが、必要だと思う」

 平昌五輪で見せたいものは何か。大会前にそう聞かれた平野が挙げたのは「高さ」だった。五輪前は、金メダル獲得のカギを握ると目された世界初のトリック「連続4回転」に話題が集中していた。しかし、平野にとってそれは金メダルを獲るための手段という位置づけだった。

「滑り1つで、周りを黙らせる」

 連続4回転以上に思いを込めて組み込んでいたのは、ルーティンの一番最初に行なうストレートのエアターン。平野は丁寧に説明した。

「自分は高さを一番の武器としています。スピンより、自分の滑りというものに魅力がある。1発で『あれがあいつだ』と分かることを1つの自分のスタイルとして、高さを追求しています」

 意識し始めたのは「小学3、4年生くらいから」だという。

「1発目のヒットには必ず、誰よりも高く飛べるエアターンを用意してきました。それは幼い頃からやってきたスケートボードでも同じです。スケートボードとスノーボードで(技を)共有させながら、今はその高さで良い表現ができている。これからもそれは変えずにやりたいと思います」

 スノーボードライダーとしての美学についても多くの言葉を費やした。派手なガッツポーズなどパフォーマンスでも目立つショーン・ホワイトを引き合いに出された質問に、こう答えた。

「自分は滑り1つで、周りを黙らせる滑りにこだわっている。観客を引き寄せることは自分は苦手なのか、(ホワイトと)同じようなフィニッシュ後の表現はできない。滑り1本で、1つのランで、みんなを認めさせることだけを目指すのは、これからも変わらず続けたいです」

【次ページ】 東京五輪は身体を休めてからの話。

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