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ダルビッシュとカブスの戦力。
先発のエース格、ノルマの数字は? 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2018/02/17 11:30

ダルビッシュとカブスの戦力。先発のエース格、ノルマの数字は?<Number Web> photograph by AFLO

カブスの練習でも状態のよさを感じさせたダルビッシュ。サイ・ヤング賞に最も近い日本人であることは間違いない。

カブスの強さはしばらく続きそう。

 では、ダルビッシュが加わるカブスの戦力はどうなのか。

 ご承知のとおり、2016年のカブスはヤギの呪いを打ち破り、108年ぶりにワールドシリーズを制覇した。ナ・リーグ中地区では2年連続で優勝しているし、ジョー・マドンが監督に就任してからの3年間を振り返ると、最低でも92勝をあげている。この安定期は、もうしばらくつづくはずだ。'17年こそ、エース級のジェイク・アリエータをFAで失ったものの、他の主力選手は大半が残っている。近い将来では、'20年末に先発4本柱のひとりカイル・ヘンドリクスがFA資格を得るくらいか。

 ただ、昨'17年のカブスは、攻撃面で迫力を欠いた。スタッツを見ると、出塁率(3割3分8厘=大リーグ全体で4位)や長打率(4割3分7厘=大リーグ7位)は悪くないのだが、安打数(1402本=大リーグ16位)と盗塁数(62個=大リーグ24位)が少ない。

 3割打者が皆無だったことも一因だが、カイル・シュワーバーやジェイソン・ヘイワードの打率が危惧していた以上に低かった。クリス・ブライアント、アンソニー・リゾといった主軸はまずまずの数字を残しているのだから、あとはハビエル・バエスやアディソン・ラッセルといった若手の奮起を促したいところだ。

先発ではダルビッシュがエース格。

 先発陣では、ダルビッシュがエース格となる。ネームヴァリューではレスターだが、今季の彼は3番手以降に下がる可能性が高い。2番手はむしろ、左腕のホゼ・キンターナが有力だ。ヘンドリクスとレスターが3番手を争うことになるだろうが、マドン監督がレスターのプライドに配慮した起用法を見せる可能性はある。5番手は、タイラー・チャトウッド。6人でまわすのならマイク・モンゴメリーも入ってくるか。

 こう見てくると、万全とはいえぬものの、地区優勝を争う力はカブスに十分備わっている。ブルワーズ(クリスチャン・イェリッチやロレンゾ・ケイン)とカーディナルス(マルセル・オスーナとトミー・ファム)の外野陣は、ともにカブスの外野陣より強力だが、アンドルー・マカッチェンやゲリット・コールの抜けたパイレーツは明らかに弱体化した。

【次ページ】 大リーグ全体で投手部門13位という評価。

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ダルビッシュ有
シカゴ・カブス

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