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極寒と不安山積の平昌五輪だが……。
現場のボランティア、市民は温かい。

posted2018/02/12 08:00

 
極寒と不安山積の平昌五輪だが……。現場のボランティア、市民は温かい。<Number Web> photograph by Takaomi Matsubara

様々な懸念はあれど、平昌の人々が五輪を盛り上げたいと思う気持ちは、ボランティアスタッフの評価を見れば分かるだろう。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Takaomi Matsubara

 2月7日に韓国に到着し、3日目を迎えた段階でこの原稿を書いている。

 平昌五輪、開会式目前のタイミングだ。

 今大会を前に、報道ではさまざまな不安が語られてきた。

 過去の冬季オリンピックと比べて、最も寒い中での開催になるのではという不安。チケットの売れ行きが順調ではないことに象徴される盛り上がりへの不安。運営面だと競技時間に関する不安だ。

 7日に仁川空港に降り立ち、氷上競技の会場が集中する江陵に到着したのは夕方だった。そこは「寒い」というより「冷たい」という感覚に襲われるほど冷えていた。しかも常に強風が吹いているため、マイナス15度前後という気温以上に冷たく感じられる。

 8日になってからは寒さが緩み、開会式の9日は暖かさを増しているが、数日すればまた冷え込みが厳しくなると予報が出ている。

選手だけでなくIOCまで寒さを懸念しているほど。

 観る立場にとっても不安材料であるが、選手にとってこの寒さは大きな不安材料となる。

 日本選手団は7日の入村式で、コンディションが崩れる恐れがあることから、選手不在で行なう異例の対応を取った。選手個々もスキー・ジャンプの高梨沙羅が風邪を警戒して加湿器とうがい薬を用意するなど、対応に余念がない。また、開会式に出席を予定している葛西紀明はカイロを全身に貼るという報道が話題になった。

 寒さを懸念しているのは国際オリンピック委員会(IOC)も同じ。なぜなら開会式の途中退場を認めると異例の発表をしたほどだ。

 ジャンプをはじめとしたスキー競技では、競技時間が夜遅くに設定されている。公式練習でも「ちょっときつい」という声がスタッフから聞こえるなど、試合のパフォーマンスにも影響しかねないだけに、やはり寒さは今回の五輪の“大敵”と言えるだろう。

【次ページ】 盛り上がったバンクーバーと比べると不安はあるが。

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