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元アイドル“ジャンボ”が全日本に!
有田ひめか、プロレスラーへの道。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2018/01/29 16:30

元アイドル“ジャンボ”が全日本に!有田ひめか、プロレスラーへの道。<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

その高身長と、アイドル時代からつちかったガッツは、プロレスラーに向いているはず。今はとにかく経験を積むのみ!

「次に呼ばれるためには強くならなきゃ」

 1.25全日本での万喜戦は、有田にとってデビュー2試合目。

 完璧なジャーマン・スープレックス・ホールドを決められて3カウントを聞いた。

 技術、スタミナ、それにリング上でのちょっとした振る舞いなど、これから身につけていかなければいけないことは山ほどある。

 もちろんそれは、新人なのだから当然のことだ。ボディスラム、ショルダータックル、逆エビ固めと技の数は少なかったが、1つひとつの技を丁寧に決めようとする懸命さは光っていた。170cmを超える長身、サイズからくる説得力やある種のふてぶてしさも長所と言っていい。

 秋山直伝のジャンピング・ニーもヒットした。“全日本のリングでジャンボがジャンピング・ニー”である。

 簡単に使っていい技ではないことは分かっていたが「ギリギリまで迷って」ここぞというチャンスで使い、万喜を追い込んでみせた。

立派だった“レスラー”としてのコメント。

 今回の『全日本プロレスデビュー戦』は、新人としての力量に加えて“ご祝儀”という要素もあるのだろう。彼女の人生にはそれを受け取るだけの意味があるわけだが、本人は「嬉しい」という言葉は使わなかった。

「応援大使の頃は毎月のように上がらせていただいたリングですが、レスラーとして全日本のリングに上がるのがどれだけ大きいことなのか気づかされました。次に呼んでいただくためには、もっともっと強くならなきゃいけないなって」

 まじりっけなしの“レスラー”としてのコメントだ。

 それは「私はこういう覚悟でやっていく」という所信表明でもあるのではないか。

 今は元アイドルとして注目されるし、アイドル経験からくる“舞台慣れ”も強みの1つ。レスラーがアイドルより上だというわけでもない。けれども彼女は、このやり方を選んだ。大型新人の登場を歓迎したいと思う。

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