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36歳から東京五輪目指し全日本準優勝。
格闘家・菊野克紀、テコンドーの夢。

posted2018/01/26 07:00

 
36歳から東京五輪目指し全日本準優勝。格闘家・菊野克紀、テコンドーの夢。<Number Web> photograph by t.SAKUMA

身長で実に27cm差! 決勝戦は大差での敗北となったが、新人選手としては驚異的な成績となった菊野。

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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t.SAKUMA

 元UFCファイターで現在は異種格闘技戦をテーマにした異色の格闘技イベント『巌流島』を拠点に活動する菊野克紀が、2020年の東京オリンピック出場を目指しテコンドーに挑んでいる。

 きっかけは、昨年6月に行われた食事会で岡本依子さんからかけられた一言だった。

「菊野君、(テコンドーに)出えへん?」

 岡本さんはテコンドーの日本人選手として初めてオリンピックでメダルを獲得したパイオニア。現在は全日本テコンドー協会副会長として後進の指導に当たっている。

「へっ……?」

 菊野は呆気にとられた。

 プロ格闘家としての活動ならともかく、その自分がオリンピック傘下のスポーツジャンルに挑戦するという選択肢は全く頭になかったのだから当然だろう。その場で岡本にテコンドーのルールについて訊くと、顔面パンチは反則でローキックはないことがわかった。

「自分が勝つにはなかなか難しいルールだ」と思ったが、その一方で魅力も感じた。

 プロテクター越しながら、ボディは思い切り殴ってもよく、KOすることも許容されていたからだ。菊野はテコンドーに新たな可能性を見出した。

レスリングやボクシングをやっても有利にならない。

「僕が沖縄拳法空手で身につけた突きの威力だったら、防具越しでも効かせることができるのではないか」

 沖縄拳法空手(沖拳)とは、形の稽古を重ねることで人を倒せる威力を持つ攻撃を身につけることができるという理論を持った流派だ。その破壊力は菊野の突きで実証済みだが、そもそもなぜ沖拳に熱心に打ち込むようになったのか。

「僕がレスリングやボクシングをやってもMMAのトップ選手とやって勝てるイメージがわかなかった。何か違う武器を持たなければ勝ち目はないと思い、沖拳を始めました」

【次ページ】 最初に憧れたのは“平成の三四郎”古賀稔彦。

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