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ビデオ判定にプレミアも賛否両論。
90分間で4回も中断されちゃ……。

posted2018/01/22 11:30

 
ビデオ判定にプレミアも賛否両論。90分間で4回も中断されちゃ……。<Number Web> photograph by Getty Images

ウィリアンのプレーを確認するレフリー。審判団の重圧を軽減する役割として、VARは存在してほしいものだ。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 1月17日のスタンフォード・ブリッジ。FAカップ第3ラウンドでの一戦後に最も強く感じられたのは、PK戦の末に格下を下したチェルシー陣営の安堵でもなければ、再試合でも互角だったノリッチ陣営の無念でもない。テスト採用されたビデオ判定への疑問だった。

 チェルシーのアントニオ・コンテ監督は、ウィリアンにPKではなく警告が与えられた延長戦前半の判定が覆らなかった事実に関し、「受け入れ難い決定的な誤審だ」と言って憤慨していた。

 ビデオ判定と聞くと、昨年11月の国際親善試合で吉田麻也がPKをとられた、ブラジル戦でのシーンを思い浮かべるサッカーファンは多いだろう。倒れたフェルナンジーニョでさえほぼアピールしなかった場面について、主審がプレーを止め、両手で四角形を描くジェスチャーに、頭の中に「?」が浮かんだ日本人は筆者だけではなかったはずだ。

現時点ではカップ戦での限定的なトライアル使用。

 イングランドでも早ければ来季からのビデオ判定(VAR/ビデオ・アシスタント・レフェリー)導入が検討されている。実際、国内カップ戦では年明けからトライアルも始まった。と言っても、一斉に開始されたわけでない。対象は、プレミア勢のホームが会場で、かつテレビで生中継される対戦カードだけだ。

 VARはモニターを眺めながら、勝敗を左右する重大な判定を確認する。その仕事場は、ロンドン西部にあるテレビ制作スタジオの一室だ。担当審判員がいるオフィスビルとスタジアムの間で、15台近く設置されているカメラがとらえた映像を随時確認する。ただそれだけの環境を備えた現場は、プレミア所属クラブのスタジアムに限られるからの措置だ。

 トライアルは順調な滑り出しだった。1月8日のブライトン対クリスタルパレスでは、クリスタルパレスのロイ・ホジソン監督がビデオ判定の有効性を評価。肉眼ではハンドにも見えたブライトンの決勝点は、ビデオ判定担当からの助言もあって主審がゴールと判断した。

【次ページ】 レスター戦のゴール判定は「歴史的な出来事」に。

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