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男子バスケ代表は五輪に出られるか。
ラマスHC「選手を限界に追い込む」。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byTetsuo Kashiwada

posted2018/01/08 11:30

男子バスケ代表は五輪に出られるか。ラマスHC「選手を限界に追い込む」。<Number Web> photograph by Tetsuo Kashiwada

試合中、コートサイドで熱く指揮を執るラマスHC。男子バスケ日本代表を変えるキーマンとなる。

アルゼンチンと同じようなスタイルで戦える。

「最初にコンタクトがあったのは、ミスター東野からです。彼は日本の状況を説明した上で、『アルゼンチンのバスケットはアメリカのようにフィジカルで圧倒するわけでも、ヨーロッパのように高さで勝負するわけでもない。

 フィジカルを見れば日本とアルゼンチンは同じような位置にいると思うが、組織で勝負して世界で結果を残している。私は日本も同じようなスタイルで戦えると信じている。ぜひ、あなたの手で実現させて欲しい』と話してくれたのです。私は彼の話を聞いて、『これは人生最大の挑戦かもしれない』と感じました。プロとして、いや、ひとりの人間としても大きなチャレンジだと」

 ラマスは東野の言葉に、「夢」を感じたという。そしてその夢を膨らませたいと願い、地球の反対側で指揮を執ることを決めた。

「インテリジェンスを十分に使いきれていない」

 オリンピックまであと3年。しかし、現時点では開催国ながら出場は約束されておらず、11月から始まるW杯アジア地区予選で実力向上を証明するしかない。Bリーグの初年度が盛り上がりを見せた後、ラマス新体制の日本代表はウルグアイとの強化試合で船出。その後、アジアカップに挑んだが、ベスト8決定戦で韓国に68対81で敗れ、大会を終えた。先発メンバー、ディフェンス・システムについても、様々なことを試しながらのスタート。まだ試運転の段階だが、ラマスが日本人選手に抱いた印象とはどんなものだったのか。

「数試合、彼らと一緒に戦ってみて、ひじょうに頭がいいと感じました。それに練習、ゲームに対する姿勢も評価できます。強くなりたいという意識も高い。ただし、私が感じたのは、インテリジェンスはバスケットにおいては大きな武器になるのですが、選手たちはまだ十分に使いきれていません。試合の流れを読み、状況によってゲームの運び方をどう変化させるのか、全員が意識を共有していく必要があります」

【次ページ】 アメリカにいる八村塁、渡邊雄太も当然注視する。

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