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スポーツの誤審に法的責任はあるか。
審判を告訴、プレーを無効にできる?

posted2018/01/08 08:00

 
スポーツの誤審に法的責任はあるか。審判を告訴、プレーを無効にできる?<Number Web> photograph by Bob Thomas/Getty Images

1986年メキシコW杯準々決勝での“神の手”。このプレーでの得点もあって、イングランドに勝利したアルゼンチンは、最終的にその大会で優勝した。

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小塩康祐

小塩康祐Kosuke Ojio

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Bob Thomas/Getty Images

< 質問 >

「私は、ある競技の社会人チームで選手をしています。先日の大会で、審判の誤審があり、敗戦してしまいました。その場で審判に対して、監督からも抗議がありましたが、結論が覆ることはありませんでした。

 私は今季限りで引退をする予定で、この大会に競技人生のすべてを出し尽くすという思いで準備をしてきました。

 誤審で負けてしまった試合が引退試合になるなんて納得できないのですが、何か方策はないでしょうか。」

スポーツにおいて、審判の判断は絶対なのか?

 例えば、1986年サッカーワールドカップメキシコ大会における、マラドーナ選手のいわゆる「神の手」や、2006年WBCにおけるアメリカ対日本戦における判定、また、2015年ラグビーワールドカップにおけるオーストラリア対スコットランド戦における判定等、世界レベルの試合においても誤審が問題になることがあります。

 そして、試合後に、当事者である選手や監督が審判に対する批判をすることも珍しくないです。

 誤審を行った審判に対して、責任を問うことはできるのでしょうか?

審判は法的責任を負うか?

 まず、誤審ではなく、審判の試合中の判断について民事責任が問われた裁判例があります。

 高校生がラグビーの練習試合において頸椎を負傷し、後遺障害を負った事案において、審判が適切な時に笛を吹かなかったことに注意義務違反があったか否かが争われたのです。

 裁判所は、「審判は、競技規則を公平に適用することによって選手の安全を図る責務を負う」としつつも、この事案において、審判は試合で競技規則を公平に適用してプレーを判断しており、責任は負わないと判断。審判の責任を否定しました。

 ちなみに、イギリスでは、ラグビーのスクラムが崩れた際に選手が負傷した事案で審判が選手への安全確保を怠ったとして、審判の責任を認めた裁判例が存在します。

【次ページ】 審判の地位と誤審の責任の重さを考える。

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ディエゴ・マラドーナ

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