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<日本カヌー界のエース>
羽根田卓也「新しい自分を見つけるために挑戦を続けた1年」 

text by

福田剛

福田剛Tsuyoshi Fukuda

PROFILE

photograph byShiro Miyake

posted2017/12/28 11:00

<日本カヌー界のエース>羽根田卓也「新しい自分を見つけるために挑戦を続けた1年」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

「怖いのは、現状に甘んじてしまうことなんです」

「前半もがき苦しんだことを徐々に精査して、後半はフィーリングも掴め、成績も上がってきました。そこでシーズンが終わってしまったのが残念でしたけど、スピードも確実に上がっていますし、これだという手応えを感じることができた。2018年に繋がる1年になったと思います。本当に次のシーズンが楽しみですね」

 さらに進化を目指し、新しい自分を作り上げる道を選んだ羽根田卓也。これまで積み上げてきたものを壊すことに、怖さはないのだろうか。

「もちろん大きくセッティングを変えたことですべてが狂って、勝てなくなったらどうしようという恐怖はあります。でも、それ以上に怖いのは、現状に甘んじてしまうことなんです。このままでいいやと満足してしまうことの方が、僕にとっては怖い」

スロバキアでの生活を快適に過ごすために。

 今回スポーツカーメーカーとして、現状を打ち破るべく挑戦を続け、進化させることを追求してきたポルシェ ジャパンが「ポルシェ ドライビング アスリート」に、羽根田を指名したのも、彼の生き方に共鳴したからに他ならない。

「まさか僕にポルシェさんからお声を掛けていただけるなんて夢にも思わなかったので、最初にお話を聞いたときは思わず声が裏返るくらい驚きました(笑)。ポルシェといえばレーシングカー、スポーツカーとして走りを追い求めて、進化してきたイメージが強いですし、最近ではカイエンやマカンといったSUVの分野でも、新たなチャレンジをしている。男としても、アスリートとしても、単純に速さや洗練されたデザインに惹かれます。ずっと憧れのクルマでした」

 高校卒業後、カヌーのために強豪国スロバキアに移り住み、すでに12年が経つ。

「向こうでの生活は今ではなんの支障もありません。スロバキアに戻ると、ホームに帰ってきたなって思います。日本に帰ってくるのと、同じ感覚ですね。スロバキアでの移動はもっぱらクルマです。大会に出場するときもキャリアにカヌーを積んで自分で運転していきます。

 先日カイエンを運転したんですけど、エンジンをかけたときの音にまずシビれました。すぐにアクセルを踏んで走りたくなりましたね。運転も快適なんですけど、ただ運転しやすいということではなく、クルマと一体になるような感覚。これがポルシェの走りなんだと実感しました」

【次ページ】 挑戦でも何でもなく、世界一へのプロセスです。

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