サッカーが好きで野球が嫌い、は理解できない。

池田「なぜサッカーだけじゃなく、バスケやトップリーグ連携機構でまで、“世直し”のようなことができるんですか？」

川淵「僕はスポーツみんなが好きなんですよ。サッカーは好きだけど、野球は嫌いっていう人が理解できない。日本のスポーツがみんな良くなってほしいと真剣に考えている。それにこの年になって、もう地位も名誉もお金もいらない。失うものがない。だから強いし、相手にとっては扱いづらい。サラリーマンとしての30年の経験とJリーグで5年間、プロ化の準備でいろんなことを試行錯誤しながらやってきた実績があるからこそ、この競技団体のどこが悪いのか、どうすべきなのかわかるんです」

池田「80歳を超えた今でも、川淵さんのように夢を語れる人はいないですよ」

川淵「いやいや。以前は80になったら仕事をやめて、好きなゴルフを毎日のようにしたいなと思っていたんだけどね。今は『年をとったからそろそろ引退してもいいか』と思わないようにしている。僕がやりたい、あるいは人から要求される限りは、とことんやってやろうという気持ちです。必要とされる限りはどこまでもやろうと」

日本相撲協会のガバナンスはダメだね。

池田「ちょっと『週刊文春』的なことを聞いてもいいですか？　川淵さんから見て、今の日本相撲協会のガバナンスはどう見えますか？」

川淵「ガバナンスはダメだね。この間の理事会後に、危機管理委員長が貴乃花親方に対して言ったことも、公平な立場でものを言っているとは思えないなって。今の相撲界において何が一番大事なのかって言ったら、ファンに対する信頼回復。それに対して何がどう問題なのか、今後、こういうふうにしていきますよと、例えば箇条書きにでもして示すべきだと思う。何が問題で、何が必要なのかを把握しようとする努力や今後への読みがあまりなくて、ただ漫然とその日暮らしをしている印象だね」

池田「相撲界を見ていると、例えばもっとアジアでも興行をできるし、もっともっと子供との相撲教室やふれ合いができると思うんです。ビジネスと競技を、もっと分けて組織をつくったらと思うんですが、川淵さんから見て、どうすれば相撲は良くなると思いますか？」

【次ページ】　貴乃花親方、協会に対しての“助言”。