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最速マシンでベッテルが犯した失態。
敗因はハミルトンではなく強迫観念。

posted2017/12/17 07:00

 
最速マシンでベッテルが犯した失態。敗因はハミルトンではなく強迫観念。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

第16戦日本GPではパワーユニットのトラブルで、わずか4周でリタイア。ベッテルの自力王者の可能性がここで消滅した。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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Hiroshi Kaneko

 勝負は結果がすべてだ。だが、その結果がすべてを物語っているとは限らない。2017年の覇権を賭けたルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルの戦いは、まさにそうだった。

 タイトルを獲得したのは、メルセデスのハミルトン。しかし、'92年にフェラーリのドライバーも務めたこともあるイタリア人のイワン・カペリは、「ベッテルが'17年のチャンピオンになっていても不思議ではなかった」と振り返る。

 現在、イタリアのテレビ局で解説者を務めているカペリは、元フェラーリドライバーとしてではなく、客観的立場から「サーキットにもよるが、今年のフェラーリは全チームの中で、最も速いマシンだった」と分析する。

 中でもそれを物語っていたのが、第4戦ロシアGPの予選タイムだ。ベッテルが4位のハミルトンにコンマ6秒の差をつけて、1分33秒194でポールポジションを獲得している。

速すぎるマシンが無用の重圧を与えていた?

 '17年のフェラーリのマシンは、'16年より格段に速くなっていた。それはこの予選でベッテルがポールポジションを獲得しただけでなく、チームメートのキミ・ライコネンも予選2位だったことでもわかる。

 フェラーリのフロントロウ独占は'08年以来、じつに9年ぶりのことだった。ちなみに今年、フェラーリは開幕戦も制したが、これは'10年以来のこと。フェラーリは'08年、'10年ともにドライバーズタイトルの栄冠こそ逃したものの、最終戦まで大接戦のタイトル争いを演じたシーズンだ。だから今年は、いやがうえにも'07年以来のチャンピオン獲得への期待が高まった。

 だが、それが逆にベッテルに無用のプレッシャーを与えたのではないか。カペリはそう推測する。

「昨年は失敗していたシーズン中のマシンのアップデートも、今年はうまくいっていた。(第7戦の)カナダGPを終えた段階で選手権をリードしていたベッテルには、さまざまなプレッシャーがかかっていたと思う」(カペリ)

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