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浦和をアジアの頂点に導いた男。
ラファ・シルバを支える母の言葉。 

text by

塚越始

塚越始Hajime Tsukakoshi

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photograph byAFLO

posted2017/12/07 17:00

浦和をアジアの頂点に導いた男。ラファ・シルバを支える母の言葉。<Number Web> photograph by AFLO

加入1シーズン目にして12ゴールを決め、浦和の前線に定着したラファエル・シルバ。海外からの注目度も急激に上がっている。

SNSで差別発言をされても「僕の背中には仲間が」。

「母は僕らのために戦ってくれていたんだ」

 ラファエル・シルバは、ふと気付いた。そして、サッカーで上手くいかなかった時、母からよく言われていた言葉を思い出す。

「一度心に決めたなら『自分はできるんだ』と信じて、まっすぐ進みなさい。いつでも前向きに」

 そしてもう一度だけ、彼は自らを奮い立たせてみようと決めた。望みを託せるものは、サッカーしかなかった。彼はフットボーラーとして成功を収めてみせると心に誓った。

 11月25日、埼玉スタジアムでのACL決勝・浦和vs.アルヒラルの第2戦。4-1-4-1システムの左サイドハーフで先発したラファエル・シルバは、守備に追われて前線に飛び出せず苦戦を強いられていた。

 彼が貴重なアウェーゴールを決めた第1戦(1-1)の後、自身のSNSに猿などの絵文字をサウジアラビアの複数の人物に書き込まれた。しかし「こんなことに足を引っ張られることはない」とラファエル・シルバは意に介さず、そして胸を張って語った。

「僕の背中には、もっとたくさんの仲間がついている」

不安を振り切ろうとする浦和を救う衝撃の一発。

 その言葉通りの展開だった。後半途中、相手に退場者が出て数的優位に立った浦和レッズのベンチが動く。興梠とポジションを代えて、ラファエル・シルバがセンターフォワードに移った。

 背中を押されるように最前線に立ったストライカーが、大仕事をやってのける。88分、武藤雄樹からの浮き球の縦パスを受けると、DFをブロックしながら反転して瞬時に加速。ペナルティエリアに入った瞬間、躊躇わず右足を振り抜く。

「上手くターンができて、しっかり強いシュートを放つことができた」

 弾丸と化したボールは、GKの手をすり抜けてゴールネットに突き刺さった。

 ここ数年、浦和レッズは終盤の失点で目の前にあったタイトルを逃してきた。今回も数的優位に立っていても、1点奪われれば逆転負け……という状況。浦和レッズに携わる全ての人の不安をふり払った一発。あらゆる人のいろいろな想いが詰まった痺れるゴールだった。

【次ページ】 信じた道をまっすぐに進んだ先に、世界はあった。

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