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W杯逃したイタリアの混迷は続く。
経済損失2兆円、権力争いにセクハラ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/12/02 09:00

W杯逃したイタリアの混迷は続く。経済損失2兆円、権力争いにセクハラ。<Number Web> photograph by Getty Images

辞任会見で不満をぶちまけたタヴェッキオ会長。イタリアの悲劇を招いた“戦犯”として、不名誉な形でその名を刻んだ。

タヴェッキオ会長は「私は辞めんぞ」と姿をくらます。

 ベントゥーラ以上に引き際を問われたのは、イタリア・サッカー界の長たるFIGCのタヴェッキオ会長だった。

 予選敗退を自ら「アポカリプス(世界の破滅)」と表現した会長はいざ敗退が決まると、「グラウンドでの成績如何によって、会長職のポストが左右されることがあってはならない。私は辞めんぞ」と言い残し、姿をくらました。

 タヴェッキオは、北部ロンバルディア州の地方銀行員を経て、30代で人口4000人の小さな山村の村長に就いた男だ。地元アマクラブの会長になり、アマリーグ機構の州支部幹部就任を足がかりに、カルチョ界中枢へひたひたと成り上がった。

 '14年夏の会長選で、当時の連盟副会長アルベルティーニを破って、FIGCのトップに上り詰めた。人種差別やゲイ差別の失言で度々批判を受けてきたが、ようやく辿り着いた権力の座だ。絶対に手放すものか。

「だいたい、昨年夏に代表監督にベントゥーラを選んだのは私じゃない。選んだのはリッピだ」と現中国代表監督へ任命責任をなすりつけようとしたら、当時短期間ながら代表のTD(テクニカル・ディレクター)を務めていたリッピ本人が「いや、選んだのは貴方だ。記憶は大丈夫ですか?」と明確に否定した。

「ガゼッタ」のアンケートでは73%が辞任を要求。

 イタリア・メディアはこぞって“辞職キャンペーン”を展開。連盟会長の責任を問う声は日に日に高まった。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のアンケートでは、圧倒的多数の73%がタヴェッキオ辞任を要求した。 

 FIGCへの影響力強化を狙って介入を探るCONI(イタリア五輪委員会)のマラゴ会長が「私がタヴェッキオ氏なら辞任するね」と迫り、共和国スポーツ省のロッティ大臣からも「連盟は根本から改革される必要がある。ご決断を」と水を向けられた。

【次ページ】 アンチェロッティ招聘をちらつかせるも裏切りが。

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