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転倒寸前のバイクを起こす超絶技巧!!
MotoGP、マルケス/ホンダの偉業。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2017/11/29 08:00

転倒寸前のバイクを起こす超絶技巧!!MotoGP、マルケス/ホンダの偉業。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

優勝セレモニーで用意されたサイコロを振ったマルケス……出た目は「6」! 自身6回目の今季優勝を象徴する、笑顔のパフォーマンスとなった。

レース展開に応じて、走りの質を変えたマルケス。

 そのためマルケスは優勝を狙う走りから、再び、タイトル獲得のための走行へと切り替えることになるのだが……25周目に3番手に浮上していたロレンソと4番手にいたドビツィオーゾが次々に転倒!

 この瞬間、チャンピオン争いは終焉を迎え、30周を終えて3位でチェッカーを受けたマルケスが、2年連続4回目のタイトルを獲得した。

 中盤までの緊迫したレース展開。対照的に次々に起きたハプニング続きのレースでタイトルを決めたマルケスは、

「夢のような気持ちです……今日のレースは、まず(常に勝ちを狙う)“マルケス・スタイル”があり、それとは対照的にミスをしてからは今年一番のセーブした走りのスタイルも出すことになった。

 アンドレアはすばらしい対戦相手だったし、今日彼がフィニッシュすることができなかったことは残念。今日は一緒に表彰台に上がりたかった」

 と、自らの連覇の喜びを語りつつも、リタイアに終わったライバルまで賞賛した。

 一方のドビツィオーゾは、「マルケスがコースアウトしたときに優勝しようと頑張ったが、グラベルに飛び出して転んでしまった。あれが限界だった。マルクはシーズンを通して素晴らしい走りをしたし、強かった」とチャンピオンを祝福した。

MotoGPデビュー以来、様々な記録を更新してきた。

 これでマルケスは、125cc、Moto2クラスを含めて、24歳にして6回目のタイトルを獲得することとなった。

 MotoGPクラスにデビューした2013年に、30年以上も破られなかった史上最年少記録をブレイクして初PPと初優勝を果たし、その勢いでシーズン6勝を挙げてチャンピオンを獲得した天才ライダーは、以後、ここでは書き切れないほどの記録を次々に塗り替えてきた。

 今年は更新中の最多PP記録を通算73回へと伸ばし、24歳で最高峰クラス4回目のタイトル獲得と通算6回目のタイトル獲得ともなったが、勿論、これらは史上最年少記録でもある。

 とにかく、速くて強いライダーであることを、こうした数字が証明している。

【次ページ】 どのメーカーもほとんど同じ競争力となった今季。

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マルク・マルケス
アンドレア・ドビツィオーゾ
ダニ・ペドロサ
ホルヘ・ロレンソ

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