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キタサンのJC敗因は高速決着か?
鞍上の武豊も「馬場がだいぶ……」。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2017/11/27 12:05

キタサンのJC敗因は高速決着か?鞍上の武豊も「馬場がだいぶ……」。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

オーストラリアで断トツの実績を誇るトップジョッキー、ボウマン。「ミルコを止めたい」という事前の宣言を実現してみせた。

スピード決着は織り込み済みだった武豊。

 しかし、武は「馬の状態はすごくよかった」と言っており、4着マカヒキ、6着レインボーライン、7着ソウルスターリングと、天皇賞・秋で好走したほかの馬たちも、それなりに上位に来ている。スーパーレコードで決着した天皇賞・春ほどのダメージではなかったと見てよさそうだ。

 このジャパンカップの勝ちタイムは2分23秒7で、キタサンの走破時計は2分23秒9。やや速い決着になったこともキタサンにとっては苦しかったか。天皇賞・春でとてつもないレコードを叩き出しているので「スピード決着は歓迎」というイメージがあるが、過去に3度走った芝2400m(2015年ダービー、'16年京都大賞典、ジャパンカップ)で、キタサンの走破時計はすべて2分25秒台だった。

「今日は23秒台の決着になるだろうと思い、それを頭に入れて乗りました。けっして悪い走りではなく、内容はよかったけど、馬場がだいぶ硬かったですね」と武。

4着との差を見ても、1、2着馬が強かったのだ。

 前半1000m通過は60秒2。昨年逃げ切ったときの61秒7より1秒5も速かった。それでも、よどみない流れに持ち込んで後続に脚を使わせる走りは、キタサンの強力な武器でもある。時計というのは、馬場状態や流れ次第でいかようにも変わってくるものだし、キタサンの走破限界時計が2分25秒台だと言うつもりもないが、今回は結果が伴わなかった。

「いいレースができて、最後はもう少し突き放せるかと思いましたが、1、2着馬が強かったですね」と武が話したように、シュヴァルグランとレイデオロが素晴らしい走りを見せた。キタサンから4着のマカヒキまでは4馬身もの差がついていた。

 次走、12月24日の有馬記念がキタサンブラックのラストランとなる。

 清水調教師は「結果は仕方がない。もう1回脚元を確認して出直します。次は目一杯仕上げます」と雪辱を誓った。

【次ページ】 有馬記念はフラットな条件で最後の勝負。

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