ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
本田、岡崎、香川とハリル戦術。
それぞれの相性を今一度検証する。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2017/11/22 17:00
2010年代の日本代表は本田、香川、岡崎のトライアングルでゴールを脅かし続けてきた。その前線に歴史的転換点が訪れつつある。
メキシコで好調の本田を起用するポジションは……。
ここで浮かんだのが、前述した3人である。
まず本田がいれば、どうだっただろうか。彼にはここ数カ月、代表でもクラブでもサイドアタッカーではなく、かつての棲家・MFで勝負しようという目論見があった。ところが、今夏移籍したパチューカは、ショートパスをつなぐ典型的なメキシコスタイルではなく、ワイドの選手を生かしたカウンタースタイルだった。チームの素顔を見た本田は、徐々に最前線や両サイドでの起用を受け入れている。
さらに本田自身も、ミラン時代の鈍重な動きの印象を払拭してきている。イタリアよりもスペースを生かした攻撃が繰り広げられるメキシコにおいて、細かいステップを踏んで突破に挑み、ゴールに向かって直線的にプレーする姿が見られる。先日、DF4人を翻弄してゴールを奪ったドリブルシュートが大きく伝えられたが、あの場面を振り返っても動きの良さが際立っている。
思えば、ここ数シーズンは、ミランで満足に試合に出場することができずにいた。コンスタントにプレーできる環境にいる今、その動きは上昇傾向にあるといっていい。
攻めに出るタイミングで、本田の総合力を生かす。
そして代表でも、パチューカと同じポジションでの役割が現実的だ。彼のスプリント力は決して高くない。試合開始の時点で守備で圧力をかけていくハリルスタイルでは、先発出場は難しいだろう。ただ、ベルギー戦後半に森岡亮太や久保裕也を投入したように、拮抗した試合展開を持続できれば、攻めに出る転換点が出て来る。
そのタイミングで本田が登場すれば、日本人離れしたフィジカルの強さで相手を制し、さらに仕掛けやパス、シュートとアタッカーとしての総合力の高さを生かせる。繰り返しになるが、ハリルジャパンの攻撃は個人頼みなのである。状態が上がりつつある本田であれば、相手への威圧感を含めて、今でも他の日本人アタッカーを超える能力を発揮できる選手である。