話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER

川崎相手にシュート1本だけの現実。
ガンバのDNA、未来は見えているか。 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/11/22 07:00

川崎相手にシュート1本だけの現実。ガンバのDNA、未来は見えているか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

川崎戦後、肩を落としサポーターのもとへ向かうG大阪の選手たち。公式戦11戦連続勝利なしという緊急事態だ。

堅守速攻にシフトしたクラブにDNAは残っているか。

 そしてJ1の舞台でもガンバはそのサッカーを継続した。

 堅守速攻をベースとしたスタイルでガンバは勝星を重ね、2014年J1優勝、ナビスコ杯、天皇杯も獲り、3冠を達成した。59得点と以前ほどの爆発力こそひそめたものの、31失点と2005年以降の1シーズン制になってからはチーム最少失点となり、長谷川監督のサッカーこそが新たなスタイルと称賛された。

 しかし今思えば、この時から徐々に攻撃的サッカーのDNAが失われた気がする。

 橋本英郎、山口智、加地亮、二川孝広、明神智和らが移籍してチームを去った。今、西野時代のスタイルを知る選手は遠藤保仁と藤ヶ谷陽介しかいない。

 現主力の年齢を見ても、時代は移り変わっている。2005年当時、現在日本代表に名を連ねる井手口陽介は9歳、三浦弦太は10歳、倉田秋は17歳、東口順昭は19歳だった。倉田は2008年のACL優勝を経験しているとはいえ、彼らのほとんどが当時のスタイルを肌で知らないのだ。

 この状況下で「ガンバの攻撃スタイルの復活を」と選手は口ぐちに言うが、果たして来年以降、そのスタイルを復活できるのだろうか。新監督の求めるスタイルにもよるが、もしクラブが方針を示さず、遠藤がクラブを去る時が来た際、おそらくそのスタイルはもう“歴史”として語られるだけになる。

 厳しいかもしれないが、中途半端なサッカーのままシーズンを戦ったツケはいずれ回ってくる。チームスタイルを再びどう構築するのか――。その定義から模索するのは、J2から這い上がる時以上に厳しい道になるかもしれない。

BACK 1 2 3
西野朗
長谷川健太
遠藤保仁
井手口陽介
ガンバ大阪

Jリーグの前後の記事

ページトップ