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エリ女は「またミルコか」の結末。
モズカッチャンは世代上位の実力。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2017/11/13 11:30

エリ女は「またミルコか」の結末。モズカッチャンは世代上位の実力。<Number Web> photograph by Kyodo News

デムーロは昨年覇者のクイーンズリングではなく、モズカッチャンを選択した。そして、その決断は正しかった。

落鉄した秋華賞でも3位、この馬は強い。

「自信があった。いつも一生懸命に走る、まじめな馬です。秋華賞は落鉄して悔しい負けだった。そのリベンジができました」

 秋華賞では序盤に落鉄して鋭い脚を使えない状態だったため、早めにスパートする形になって3着に惜敗した。今回は、思う存分溜めてから動くことができた。

 2400mのオークスでは、ソウルスターリングに1馬身3/4及ばなかったものの、3着に2馬身半差をつけての2着。秋華賞から距離が1ハロン延びたこともプラスに作用した。通算4勝目が、嬉しいGI初勝利となった。

 早い時期から「今年の3歳牝馬は強い」と言われていたが、それが事実であることを結果で証明した。この女王杯の20分前に行われた福島記念を3歳牡馬のウインブライトが制し、前週のアルゼンチン共和国杯をダービー2着のスワーヴリチャードが圧勝した。天皇賞・秋では、ソウルスターリングが苦手と見られていた道悪ながら6着と健闘したように、今年の3歳馬は、牝牡ともにハイレベルなのかもしれない。

今年のデムーロはあらゆる記録が驚異的なレベル。

 3歳のレベル以上に特筆すべきは、デムーロの強さだ。この勝利により、今年のオークスで3着(アドマイヤミヤビ)になってから、GI騎乗機会9戦連続3着以内になっている。今年のGI5勝目で、年間最多GI勝利にあと1勝。異なる馬で5勝したのは史上初で、複勝率7割0分6厘というのも驚異的だ。書くことが多すぎて後回しになったが、昨年のクイーンズリングにつづき、女王杯を連覇した。

 今年これまで行われた平地GIは17レース。クリストフ・ルメールが4勝しているので、半数以上の9レースを外国人騎手が勝っているわけだ。そんななか、意地を見せたのが、クロコスミアを首差の2着に粘らせた和田竜二だ。和田は、オークスまではモズカッチャンの主戦だったのが、秋のローズステークスからデムーロに乗り替わりになった。そんなかつてのパートナーを、あと数完歩でゴールというところまで負かしそうな好騎乗だった。

【次ページ】 調教師、馬主、牧場すべてにとって初のGI勝利。

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モズカッチャン

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