第94回箱根駅伝(2018)BACK NUMBER

「二兎を追う」文武両道ランナーたち。
それぞれが目指す箱根路。

posted2017/11/10 17:00

 
「二兎を追う」文武両道ランナーたち。それぞれが目指す箱根路。 <Number Web> photograph by AFLO

関東学連選抜のエース格となった近藤。東大という環境を大いに生かすことでアスリートとしても飛躍している。

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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 彼らはいったいどのような思いで箱根駅伝を目指しているのだろう。

 関東学生連合チームの登録メンバー(10月の予選会で出場を逃した大学の中から個人成績上位者を中心に編成される)に選ばれた選手たちの大学名を見て、ふとそんなことを思った。

 東京大学、筑波大学、慶應義塾大学など、いずれも箱根駅伝の常連校とは言い難い。箱根駅伝を目指しながら、彼らがいわゆる駅伝強豪校ではない大学を選んだ理由は何だったのか。

「自分の場合は高校が進学校で、みんなが国公立の大学を目指していたのが理由のひとつ。あとは、自分にしかできない道を見出すために東大で走ってやろうって。可能性を追求したい気持ちが強くありました」

 そう話すのは、学生連合チームでエース格となる近藤秀一だ。

陸上と勉学、両立するのに最適なのは東大。

 箱根町に隣接する静岡の函南町出身で、箱根駅伝出場は陸上を始めた小学生の頃からの夢だった。韮山高校では陸上部の主将を務め、5000mでは14分27秒という記録も出した。県内トップクラスの実力で、実際にいくつかの強豪校からスカウトも受けていた。

 しかし近藤はその誘いに乗らず、1年の浪人時代を経て東大進学を果たす。あえて箱根駅伝を目指すには遠回りともいえる選択をしたのだ。

 陸上を続けるにも、勉学に励むのにも、東大の環境が一番適している。

 そう判断したという。

「高校である程度の記録が出せて、逆に上が見えてしまったんです。全国にはもっと速い選手がいて、自分のアイデンティティが陸上ひとつでは将来的に厳しいと。練習環境が比較的自由な東大なら、自分の陸上が突きつめられる気がしたんです」

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