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DeNAの逆襲は宮崎敏郎から始まった。
頼れる「三振しない男」の復活。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/11/02 12:20

DeNAの逆襲は宮崎敏郎から始まった。頼れる「三振しない男」の復活。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨年頭角を現し、今年はついに首位打者の初タイトルを手にした宮崎敏郎。ファンからの愛も厚い選手だ。

タイプは違えど、筒香と同じバッティングの種類。

 しっかりボールを呼び込んで、右軸で逆方向に強い打球を打てるようになった。

 打者としてのタイプは違うが、基本的には4番を打つ筒香嘉智外野手と同じ、今のメジャーで主流となっているバッティングだった。そのメジャー流の打撃がアレックス・ラミレス監督の目にとまる。そうして昨年は自己最多の101試合に出場して2割9分1厘と結果を残し、今季は3割2分3厘で首位打者へと上りつめた。

 ただ、巧みなバットコントロールの証はハイアベレージだけではない。523打席で喫した三振がわずか47個しかないのだ。この数字は両リーグで今季500打席以上立った選手の中で、最少の数字なのである。「三振をしない」ことが、宮崎という打者のアイデンティティーでもあるはずだった。

見極める意識が強くなりすぎて慎重に。

 ところがこのシリーズでは、いきなり第1戦で2三振を喫した。

 大舞台を意識しているつもりはないが、どうしても慎重になりすぎていた。ボールをきっちり見極める意識が強くなりすぎて、まずバットを振るという自分のスタイルを徹底しきれていなかった。それがこの3戦目までわずか2安打という数字にも表れていた。

 その負の連鎖を断ったのは、5回の攻撃に備えて一塁ベンチ前で組まれた円陣だった。

「ストライクを取りにくるストレートを積極的に狙っていけ!」

 コーチ陣から出された指示だった。

「それまでは少し見すぎていたのかな、と。それ(円陣の指示)がいい方向に行きましたね」

 吹っ切れた打席で飛び出した本塁打は、チームにこのシリーズ初の先制点をもたらすもの、すなわち今までの流れに楔(くさび)を打つ一撃ともなったのである。

【次ページ】 DeNA、あとは筒香が復活すれば奇跡への道が。

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