オリンピックへの道BACK NUMBER

本田真凜、GPデビューのワクワク。
常識を超えた“ぶっつけ本番”を見よ! 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2017/10/27 12:10

本田真凜、GPデビューのワクワク。常識を超えた“ぶっつけ本番”を見よ!<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ジュニア時代から大きく報じられ続けた本田。ついにシニアの舞台で、自らの力を試す時が来た。

デビュー戦はいくつもの「ぶっつけ」で挑む。

 練習のあと、「(フリーのジャンプ構成は)いつも試合でぶっつけなので、自分でも分かりません」と発言していたように、大会当日、どのような構成になるのかは曲が流れてみないと分からない。ただ、難度を上げるという意志だけは間違いない。

 たいていの場合、アイスショーやグランプリの前の大会で滑っておいて慣らしをしているはずのところだが……初のお披露目となるショートの演目、ここに来てのジャンプの構成変更と、デビュー戦を、いわばいくつもの「ぶっつけ」で挑むことになったのだ。

シニアでも「守る必要はないなと感じました」。

 それを促したのは、10月7日に行なわれたジャパンオープンにほかならない。

 エフゲニア・メドベデワ、三原舞依ら、シニアの上位を争う選手たちと同じ試合で滑る中で、その差を思い知らされた。

「足りないところがたくさんあるなというのと、悔しい気持ちが久しぶりにありました」

 このままではシニアで戦っていけないと痛感した。そして思ったのは……「守る必要はないなと感じました」ということ。

 シーズン開幕前。その準備が進む時期に、フリーの『トゥーランドット』を「女王のプログラムなのでいつも完璧でないといけない」と語っていたのが象徴的だったが、本格的にシニアに参戦するにあたって、ノーミスであろうと過剰に意識するようになっていたようにも見えた。ミスをすれば、差がさらに開くからだ。

 一般的な選手だと、その判断で間違いは何もない。ミスをしないこと、完璧を求めるのはシニアで戦い続けている選手たちにとっては当然のことだからだ。

 ただし、その原則があてはまらないほどの個性を、これまでの本田は放ってきていたのではなかったか。

【次ページ】 そのときの感情で演じる「一回性」こそ原動力。

BACK 1 2 3 NEXT
本田真凜
濱田美栄
平昌五輪
オリンピック・パラリンピック

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ