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ブンデスリーガはなぜ弱くなった?
代表とは真逆、欧州で存在感低下中。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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posted2017/10/19 07:00

ブンデスリーガはなぜ弱くなった?代表とは真逆、欧州で存在感低下中。<Number Web> photograph by AFLO

ネイマールら擁するPSGに完敗したバイエルン。アンチェロッティ監督との確執が噂されたロッベンら選手たちは、新体制で逆襲なるか。

「今のブンデスはハイレベルな競争力を欠いている」

 純粋なクオリティー不足に言及するのは、ドイツサッカー連盟のスポーツディレクターとしてドイツの育成改革を主導し、バイエルンでも同職を務めた経験を持つマティアス・ザマーだ。ドイツ人最後のバロンドール受賞者は『ビルト』紙にこう語っている。

「今のブンデスリーガは残念ながら、ハイレベルな競争力に欠けているんだ」

 その競争力の低下が最も顕著なのは、ケルンをおいてほかにない。今夏の移籍マーケットでアントニー・モデストが退団した損失を埋められず、攻撃の最終局面におけるクオリティーがダウン。新エースと期待されるジョン・コルドバと大迫勇也の2トップによるコンビネーションで打開する場面は稀で、もともと多かったわけではないチームアタックのバリエーションがさらに少なくなっている。ブンデスリーガで開幕8戦未勝利、最下位に沈んでいるチームに、そもそもヨーロッパでの躍進を望むのは酷だろう。

今一番期待すべきは、ドルトムントにほかない。

 経済力の差を苦戦の一因に挙げる声もある。しかし、何を今さらという話だろう。マネーパワーに頼ることなく、若手の育成やモダンな戦術で勝利を掴んできたのが近年のドイツ勢だ。そもそもブンデスリーガ18クラブは過去最大の計5億7400万ユーロを今夏の移籍マーケットに投下し、新たな選手を獲得している。

 プレミアリーグに比べれば、3分の1程度に過ぎない投資額だが、カネは以前より使っているわけだ。ケルンがセルビアのレッドスター、フライブルクがスロベニアのドムジャレ、ヘルタ・ベルリンがスウェーデンのエステルスンドに敗れた理由にはなりえない。

 歯車が狂い始めたドイツ勢で、期待すべきは最もチーム状態が良好なドルトムントだろう。現地時間11月1日に控えるアポエルとのリターンマッチをきっちりとモノにして、先行するレアル・マドリーとトッテナムに食い下がりたい。ハインケス新監督の手腕が問われるバイエルンは、カウンター対策を含めた守備の再構築や規律の徹底が求められる。

 はたして負のスパイラルを断ち切るクラブは――。ドイツ勢の戦いぶりに注目だ。

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