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日本はハイチに恥をかかされた。
スタメン組の実力を再確認した試合。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/10/11 11:30

日本はハイチに恥をかかされた。スタメン組の実力を再確認した試合。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アディショナルタイムに追いついたものの、日本にとっては勝って勢いをつけたい試合だったことは間違いない。

中盤より前には存在感を発揮した選手もいたが……。

 中盤から前線にかけても、テストに一発合格した選手は見当たらない。

 アピールをした選手はいる。

 所属先の浦和レッズとは異なりアンカーで起用された遠藤航は、ワンタッチでテンポよくボールをさばいた。パスの矢印がタテへ向いているのは、この24歳の優れた特徴である。

 ニュージーランド戦に続いてインサイドハーフで出場した小林祐希も、自分なりの色は出した。ショートレンジのパスで3トップを走らせつつ、思い切ったサイドチェンジで攻撃に奥行きと幅をもたらす彼の個性は、井手口や山口とは違ったものである。

 遠藤は久しぶりにプレーするポジションで、小林は日本代表で初めてのスタメンだった。彼らなりのエクスキューズはあるが、テストに割ける時間は限られている。ポジションを考えれば勝敗の責任をもっと背負っていいはずで、彼らには日本代表でもチームの中心に食い込めるキャパシティがある。「テスト」の3文字が脳裏をよぎるなかでは難しいものの、周囲をはっきりと動かすぐらいに存在感を示しても良かったのではないだろうか。

 先制ヘッドを叩き込んだ倉田秋と、自身代表初ゴールとなるチームの2点目を決めた杉本は、所属クラブでの“経過観察”といったところか。得点という結果を残したのは事実でも、先行するライバルを上回るパフォーマンスだったかと言えば、決してそうではないからである。

「日本はハイチに恥をかかされた」

 この試合を客観的な視点から評すれば、「日本はハイチに恥をかかされた」といった表現が当てはまるだろう。日本の同点ゴールを待たずに席を立つ観衆が多かったのは、失望感の分かりやすい表れだった。

 ロシアW杯が終わったとき、ハイチ戦はどのように位置づけられるのだろう。

 ハリルホジッチ監督のテストに、鮮明なる解答を提示した選手はいなかった。それでも、ロシアW杯への選別という意味で見えてきたものはある。

 いまはまだ虚しさを呼ぶ一戦も、近いところでは11月の欧州遠征で、将来的には来年6月のロシアW杯で、重要なプロセスとして振り返ることができる。国際舞台で信頼を寄せられる選手とそうではない選手を見極めるのも、テストを構成する大切な要素だからである。

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