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「リャンの生き様そのものが仙台」
ベガルタの象徴、梁勇基という男。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/03 08:00
梁勇基は、押しも押されもせぬ仙台のバンディエラだ。ルヴァン杯で勝てば彼にとって、そしてクラブにとっても初の主要タイトルになる。
憲剛「リャンの生き様そのものが、いまの仙台」
一方、準決勝で対戦する中村憲剛は“ワンクラブマン”の先輩として、梁勇基のキャリアに敬意を表していた。
「リャンの生き様そのものが、いまの仙台。リャンがいるから、仙台は簡単に崩れないんだと思う」
最後まであきらめず、静かに闘志を燃やし続ける。少々のケガでは練習を休まず、ピッチで倒されてもすぐに立ち上がる。いつも背中でチームを引っ張ってきた。'07年から'11年までは5シーズン連続で全試合出場。現在、J1・2通算で496試合に出場(10月3日時点)している。
「昔からみんなの模範だった」としみじみ話すのは阪南大の須佐徹太郎監督。大学時代からケガをこらえ、大一番で気概を見せたことは、1度や2度ではなかったという。50人ものプロ選手を輩出しているが、特に思い入れのある教え子のようだ。「まだまだ燃え尽きることはないと思う。とことん極めてほしい」とエールを送る。
梁勇基がピッチで躍動する姿を楽しみにしているのは恩師だけではない。仙台に同期で加入し、9シーズンにわたり苦楽をともにした4歳下の関口訓充(現セレッソ大阪)もその一人。9月23日に大阪で仙台と対戦した夜に会食し、互いのチームで奮起することを約束した。
「リャンさんはまだまだ余裕でやれる。危機感は持っているみたいだけど、準備はしっかりする人。ルヴァン杯の決勝で戦いたい。僕らも(準決勝で)ガンバを倒さないといけないし、仙台も次の相手はフロンターレ。簡単ではないけど、なんとか勝ってほしい」
互いにポジションを確約されるような立場ではないが、刺激を受け合い、かつての2枚看板はいまも切磋琢磨している。
梁勇基は自らの存在価値を示すためにも、ルヴァン杯で簡単に負けるわけにはいかない。
「俺自身、ここから成長できるかどうかが試されている」
自分にも負けない――。12シーズン、仙台の10番を背負ってきた男が、ベテランの意地を見せる。