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大学最後の冬を石川祐希はどう戦う?
イタリアでのプレーは夢への第一歩。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2017/10/01 09:00

大学最後の冬を石川祐希はどう戦う?イタリアでのプレーは夢への第一歩。<Number Web> photograph by AFLO

22歳にして3度目のイタリア挑戦。今度こそ石川はセリエAで確たる実績を残そうと意気込んでいる。

高校からのチームメートはサバサバと話した。

 星城高校時代から石川と対角を組んできた中央大4年の武智洸史はサバサバとこう話した。

「あいつとはもう7年も一緒にやりましたからね。もうお腹いっぱい(笑)。いや、それはウソですけど、でもいいんです。あいつはどこでも、やりたいところに行けばいい。僕が残ってますから。3年生もすごくしっかりやってくれてますから大丈夫です」

 最終的には全日本インカレの期間だけは帰国して出場することになったのだが、そんな一大決心をしてつかんだセリエA開幕を、怪我で逃すことは無念に違いない。

 しかし今は怪我を完治させることが先決だ。

 2020年東京五輪、その先の'24年パリ五輪に向け、石川が日本の柱となる存在であることは疑いようがない。ただ、怪我が多く、大活躍した'15年のワールドカップ以降、万全の状態で国際大会を戦えていない。無理を続けていることがその一因だ。

 今年も、ラティーナでの最終戦の直前に腰を痛めたが、帰国後、大学の春季リーグや黒鷲旗に出場。痛みを抱えたまま全日本期間に突入した。最初は試合出場をセーブしたものの、世界選手権アジア最終予選やアジア選手権では連戦が続き状態を悪化させた。

「休むこともコンディションを整えるためには必要。今年はイタリアから帰ってきて、休まずにずっとやってしまったことが失敗でした。これからは無理にやらずに、休む期間もしっかり作ることを考えていかないと」

 この先、長く続くバレーボール人生のために、まずは体を万全の状態に整えることを何より優先してほしい。石川自身の自覚とともに、全日本や所属チームの無理な起用の自制も必要だ。

同級生の大竹壱青もドイツ挑戦を決意した。

 石川の記者会見の場に、今年全日本デビューした同級生の大竹壱青が飛び入り参加し、今シーズン、ドイツ1部リーグのユナイテッド・バレーズ・ラインマインに派遣されることが発表された。卒業後はV・プレミアリーグのチームに所属するが、その企業の理解もあり海外挑戦が実現したという。

 大竹は昨シーズン、約1カ月間イタリア・セリエA2のトスカーナに練習生として参加したことがきっかけで、次は海外リーグで試合に出たいという欲が生まれた。しかし一方で、Vリーグの企業に所属したいという思いもあった。

「セカンドキャリアのことも考えると、企業人として行くほうが安定するというか、安心なので。悩みましたけど、やっぱりプロで行くだけの実績はまだ自分にはなかったので。石川は3年前から全日本に入っていて、ワールドカップなどで活躍して海外でも知られていると思いますけど、自分はまだまだ出たばかりなので不安がある。企業に所属して行くのがベストかなと思いました」

 これまで、卒業後もトップレベルでバレーを続ける大学生はVリーグに進むのが当たり前だった。何年かVリーグでプレーしたあと海外に出る選手はいたが、大竹は、Vリーグに出場する前に海外リーグでプレーする新たなケースとなる。ただ、来季以降も海外でプレーを続けられるかどうかは未知数だ。

【次ページ】 「バレーボールに対してどれだけ身を削れるか」

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